其の自由なオッサン
「森乃さん、おつかれ様です。早いものでもう5月ですね」
「ええ、編集さん。暑い。座ってるだけで汗ダラダラ。ウチワ単独では限界です」
「ウチはエアコンありますから、ふふふ」
「(これだから高給取りは…)」
「でですね、泠さん。今回は(も?)二回クビ事件シリーズはお休みしていただきます。読者さんからファンレターが届きましてね」
「ファファ、ファファファンレタァッー!?」
「…ええ、ファンレターです。しかも複数。いくつか読み上げましょうか」
「(今回も得意のねつ造ファンレターで尺を稼ぐわけですね、編集さん。御意)ちょっと心の準備するから待っててね……」
10分後
「よし、聞きましょうか」
「ひとつめ。日向在住のペンネーム《沈黙は最下位》さん。『ようやく、というべきか。本音をオブラートに包まない姿勢が出てきた。しかし過剰な抑制は今も健在。少しくらい暴言が平常運転のSNSの面々を参考にしてほしい。これからもがんばってください』」
「ううう…」
「次、ふたつめ。下総在住のペンネーム《思想の自由もない》さん。『やっとらしくなってきましたね。あまり構成や整合性、誤字脱字のないことに気を遣わないで、思うままにつづってください。我々があなたに期待するのは、日々の不条理を赤裸々に語る姿です。これからもがんばってください』」
「うううう…」
「そしてみっつめ。武蔵在住のペンネーム《密室に気をつけろ》さん。『まだまだ全然足りませんね。その100倍くらいストレートに本音をぶつけないとダメです。善人ヅラが染みついてるんでしょうね。何のための当て馬ですか――役割分担を考えてください。まあ、当て馬が本命馬を差すのも、それはそれで面白いですけどね。これからもがんばってください』」
「ううううう…」
「いやあ、読者さんはよく理解されてますね、森乃さん。これでまた一段と創作意欲が高まってきたでしょう、ええそうでしょう、そうに違いない。なのでさっさと続きをお書きくださいね」
「(チェッ、言うだけの人は楽でいいよな)ふん!」
〈つづく♪〉