02話 出逢い
今日、出発の日。都にある後宮へと向かう日だ。やっと馬車に荷物を詰め終え、出発しよう!という時にマーサに引き止められた。
「アルティナ様。護衛の方はつけないのですか?。」
「ご、護衛・・・?。」
そう言って首を傾げた。そんなもの何て後宮に必要など無いだろう。
「必要など無い、と思いましたね。」
マーサはニコニコしてそう言った。私は思わず目を逸らす。
「都を馬鹿にしてはいけませんよ。貴族や伯爵家を狙った事件が多いのですから!。」
「わ、分かったから!!。」
マーサの気迫に押されて結局マーサの意見を飲むことにした。
「それでは騎士様をお呼びしますね!。」
まさか元々そうゆうつもりだったんじゃ・・・?。
私は、考えることをやめた。
しばらく待っていると、フードを被った男がマーサと共にやってきた。背の高い男だ。
「Aの副騎士長のノルヴァ様です。」
マーサがそう言うと、男・・・ノルヴァ様は頭を軽く下げた。
「ジン・ノルヴァ。短い間ですが、よろしくお願いします・・・。」
「ええ。私はアルティナ・ファーミリオン。よろしくお願いします。」
そう微笑んで言って私は彼と握手をしようと手を差し出した。ジンは私の手を握ると直ぐに手を離した。そして、私たち3人は馬車に乗り込んだ。ノルヴァ様はまだフードを被ったままだ。
「あの。戻してもいいですか。口調。」
ノルヴァ様はそう言った。
「アルティナ様。やめた方が・・・。」
「ええ。別に・・・。大丈夫ですよ。」
マーサが何か言っていたが、普通に無視してそう言った。敬語でなくても私は別に大丈夫だからだ。
「んじゃ、コレも要らないか。」
そう言ったノルヴァ様はフードをとった。すると、整った顔がフードから出て来た。
「!?・・・まあ。び、びっくりした。」
副騎士長というくらいだからてっきり父くらいの年かと思った。