01話 後宮なんて行きたくない
後宮とは
・王子が結婚をする女性を選ぶ所。
・後宮に入れるだけで女性価値が上がる。
・王子が女性を選ぶまで後宮の女性は王子の妻扱いなので、婚約などは許されない
私と父はあまり良い関係では無い。
私の家は父と義母、義弟の4人暮らしだ。それに何十人もの侍女や召使い。私の母は一昨年病気で亡くなった。父と母は、略結婚だった。だからなのか、父は母のことを愛していなかったそれに私の事も。それに、外に愛人が山ほどいた。義母もその愛人の1人。
父は私など眼中に無い。
「アルティナ様。ご主人様がお呼びでございます。」
柔らかくそう言った侍女のマーサ。昔から母と私に気を遣ってくれているごく少ない私の味方だ。
「お父様が私に用?。珍しい事もあるのね。」
そう言って私は父の部屋に向かった。父の部屋は義母の部屋の次に大きい。扉も何処かの神話に出てきた大男でも入れそうな程大きなものだ。2回、扉をノックする。
「失礼致します。」
そう言って扉を開いた。
悪魔で堂々と、かといって慎重に。私は心の中でつぶやいた。
「アルティナか。」
父は振り返った。私は軽く頭を下げた。
「はい。お父様。何か御用でしょうか?。」
父はいつものように無表情だった。そんな父に内心苛つきながらもきちんとそう言った。
「アルティナ。1つ頼みがある。」
私は作り笑いを浮かべた。
「ええ。何でも。」
父は満足そうな笑みを浮かべた。またもやそこで苛つく。
「出来ればでいいが、後宮に行ってくれ。」
出来れば。これは断るなという意味だ。断ったら断ったでどの道行かなければならない。
「後宮・・・に?私が・・・ですか?。」
父は上機嫌に笑った。
「ああ。」