プロローグ
世の中には‘並行世界‘があることを、皆様はご存じだろうか。
‘並行世界‘それは、この世界と平行の時間の流れの上にあり、決して交わることのない、相反する世界。
いわゆる‘パラレルワールド‘というものである。
ではもし、決して交わらないはずの二つの世界が、「交わってしまったとしたら」。
その二つの特徴を持った世界が生まれてしまったとしたら。
これは,異世界に飛ばされる、とある少年の物語である。
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時間は朝の8時、場所は歩道。そこには制服を着た二人が、ゆっくりと、それはもうゆっくりと、学校に向かって歩みを進めていた。
「あー、だるいなー」「ほんとそれな~」
と、どこかのチャットで話されているような言葉を交わしている。
それもそのはず。つい最近、というより昨日夏休みが終わったばかりだ。
さて主人公はこの二人のどちらかというと...え?原稿違う?...あ、ほんとだ。
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前文を訂正しよう。
これは、異世界に飛ばされる、とある少女の話である。
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とある道端に、小説を読みながら歩く女子高生が一人。特徴は、黒く長い髪に、黒い眼鏡をかけているとだけ言っておこう。彼女の名前は「黒崎 ミナ」クラスメイトからは「クロミナ」と呼ばれている。
ミナはクラスでは基本的に自分から周りの人に話そうとしない。クラスメイトはミナによく話しかけてくるのだが。
さて、雑談はここまでにして、この少女がどのように異世界に飛ばされるのか、先に皆様に教えておこう。
少女の数十メートル先に蓋の無いマンホールがある。この少女は、この中に落ちて異世界に飛んでいくというわけである。こんなことを言っている間に、マンホールはミナの五メートルほど先に迫ってくる。
あと一歩、たったの一歩でマンホールに落ちる。
よし、ここまで台本通り...
「あ、このマンホール蓋が開いてる」
と言いながら、ミナはマンホールを避けた。
なんでだあぁぁぁぁぁぁ!!!!なぜ台本通りにいかないこの野郎!!!!
※登校中とは言っていない
それ書いとけよ!!!!なんで原稿に書いてないんだよ!!!!
~それから十時間後~
再びチャンス到来!!!
部活に入っていないミナは、ほかの生徒よりも帰宅時間がだいぶ早い。もちろん帰宅途中には例のマンホールがあるわけで。
ミナは、蓋が開いているマンホールを避ける。
よし...ここまでは予想通り!私だって、ただ無駄に十時間過ごしてきたわけではない。この先、この少女は車に轢かれて異世界に飛ばされる!(手持ちの原稿より)結構ポピュラーな飛ばされ方だが、仕方ない。もう、こうするしかないのだ。
ミナが朝と同じように、小説を読みながら歩いている。次に右に曲がったら車にひかれて、異世界に飛ぶとも知らないで。
そして、ミナが右に曲がろうとしたとき、
「眼鏡が...」と、眼鏡を拭き出した。もちろん、ミナを轢くはずだった車はそのまま通り過ぎていく。
ですよね~。もうだめだ俺、この仕事やめよう...
眼鏡を拭き終って、また小説を読み始めた。
そのとき一瞬ではあったが、小説がまぶしい光を放ち始める。
光がなくなったそこには、もともと誰もいなかったといわんばかりの静けさだけが残った。