行間Ⅲ
スーパーバイブレーティング
いまや全スポーツ中ナンバーワンの人気を誇る、超振動を用いた6人1組での戦闘シュミレーションゲーム。プロもいるがランカーは公務員などの就職にも有利。元は軍の訓練であったが一般市民の自衛や警察消防などの質の上昇を目的にスポーツ化。7年前から始まり、創始者は犬養高人とオリバー・フィンダイゼン。全国の高校でも教育課程として盛り込まれ、4人ないし5人1組で行われる。
スーパーバイブレーティングとは、正確にはその格付けという意味ではあるが今では競技そのものを指すことが多い。ルールは至って簡単で、相手の陣地にある旗を何らかの方法で破壊する、もしくは相手の選手を全員戦闘不能にすれば勝利である。
コートは縦40m横30m(高校では縦35m横25m)の広さで行い、障害物が置かれることもある。旗は自陣のどこに置いても良く、選手が持ち運ぶことも反則にはならない。選手はコートからでなければどこにいても良いがコートから出るとその選手は退場となる。基本的に武器の使用は認められていないが、例外もある。制限時間は基本的には定められていない。ただし、トーナメントの場合などやむを得ない状況ではその限りではない。
このゲームでは、各選手に基本的なポジション、役割がある。
・司令塔
・スイーパー
・ディフェンダー
・遊撃手
・オフェンス
だいたいはこの5つに分類されるが、必ずこれが一人ずつというわけでもなく、チームの特性によってまちまちである。極端なところでは司令塔一人以外全て遊撃手というチームもある。ポジションの名前が日本語だったり英語だったりするのは創始者が二人で考えたため。
司令塔
自陣後方からゲームの全体像を把握し、チームメイトに的確な指示を送りゲームメイクをする。司令塔がいないチームというのはほとんど存在せず、大事なポジションであると言える。基本的には攻撃には参加せず、守備の補助をしながらのプレイとなる。
スイーパー
旗を守る最後の砦。旗への攻撃の縦になったり撃ち落としたりが主な役割。司令塔が兼任することも多く、プレイヤー人口中の割合は少ない方である。しかし、中にはスイーパーを極めた強者もおり、侮れないポジションではある。
ディフェンダー
文字通り守備をするプレイヤー。相手プレイヤーの自陣への侵入を守るのが主な役目であり、2人以上であることが多い。広範囲に効果が及ぶ超振動をもったプレイヤーに向いている。攻撃の援護射撃をすることもある。
遊撃手
コート内を縦横無尽に駆け回り、あらゆる場面に対処するオールラウンドプレイヤーである。各能力において高い数値が求められ、判断力も求められる難しいポジション。その分、司令塔に並び重要なポジションと言われる。
オフェンス
攻撃することだけを仕事とするポジション。攻撃するだけなので簡単なポジションと思われがちだが、自チームの勝利は彼らにかかっていると言っても過言ではない。またオフェンスには大きく分けて二つのタイプのプレイヤーがおり、振弾が得意で遠距離からの戦闘が得意な射撃型と、近距離戦が得意な格闘型がある。前者は旗の破壊、後者は選手の戦闘不能を狙うことが多い。
これらは代表的なプレイ方法をまとめたものなので詳しくは、スーパーバイブレーティング公式ルールブックを読んで欲しい。
「だそうだが」
学校で配布されたパンフレットを読みながら、高広は後ろから覗き込む三人に問いかけた。
「愚問ね、決まってんじゃない」
「聞くまでもない…」
「まぁそうなるよね」
高広はやれやれと思いながらも得も知れぬ安心感に包まれていた。
〜6月某日ある教室で〜