月の願い事
とても、とても遠い昔。
お月さまは、太陽の力をかりて暗闇をてらしていました。
ある日、お月さまは太陽のように、何かの役にたちたいと思いました。
そして、それには太陽に聞いてみよう、と月は思いました。
けれど、暗闇と昼間。正反対な二つの星は、会うことはできません。
たった2度のチャンスをのぞいて。
そう、『月食』と『日食』です。
幸いにも、日食が明日ある。そこで、太陽に聞こうと月は思いました。
そして日食の日。
ついに太陽に聞くことができました。
けれど太陽はこう言うのです。
『君はもう、すでに多くのものの役にたっているじゃないか』と。
月は、その時初めて気付いたのです。多くの声に。
「月のおかげで星たちは光っていられるんだ」
星たちの声に
「あぁ、お月様のおかげで、夜でも明るくて助かるわ」
人々の声に
けれど月は
『それは太陽が僕をてらしてくれているから、星も人も嬉しいんだ』と。
しばらく考えていた太陽は次にこう言いました。
『それなら、お前は願いを叶えてやればいい』と。
『お前は、白くてとても純粋な光だ。まるで天使とやらのようにキレイだ。ならば、お前にも何かの願いを叶えることができるのではないか?』