幼馴染
駅を降りて、マンションまでの道を歩いてる時、後ろから声をかけられた。
「良太にぃ!」振り返ると、昔の面影が残る。ポニーテールの女子高生が立って居た。
「杏ちゃんか? 久しぶり、大きくなったね!」
「えっ!私ってすぐにわかっちゃうんだ。実は、私は”良太にぃ”に会うのは2回目なんだけど。」
「えっ!いつ?」
「へへへ、良太にぃが帰ってきた日の、一階のロビーで。声を掛けようと思ったけどすぐにエレベーターに乗って行っちゃったから、声をかけそびれて・・・」
マンションに帰る道すがら、世間話をしながら歩いた。
どうやら、杏ちゃんは高校2年生で部活の帰りとの事で、たまたま前を歩いていた、僕を見つけ声をかけたって経緯だ。
「良太にぃ、今日の晩御飯は?」
「ウーバーでも頼もうかな、と考えながら歩いてたけど」
「じゃ家で食べたら、どうせ今日はお父さんいないから、お母さんだって人数が多いと喜ぶから。」
「お邪魔だからいいよ。大丈夫だから」と断っておいた。
と言って、郵便受けの方に向きを変えた。
「それじゃ、またな」と挨拶をした。
「はぁ、」と彼女は力なく返事してエレベーターホールに向かった。
郵便受けから、予備校から書類やテキストなど届いてたので両脇にいっぱいの荷物になった、エレベーターが運良く降りてきたので乗り込んで、9階のボタンを押し降りたら、部屋の前で杏ちゃんが立っていた。
「ん?どうしたの」と聞いてみたら
「お母さんが、一緒に食べましょって、呼んできてって、迎えに来たの」
「わかったよ、ちょっと待って部屋に荷物を置くから。」
「お待たせ」
杏子の家は、1階上の部屋っだったので、階段で上がることにした。
「お邪魔します。」
「あっ、いらっしゃい!ゆっくりしてね!」
「とりあえず、コーヒーでも飲む?今ご飯用意してるので、まだ少し時間がかかるから
コーヒでも飲んで待ってて!」
「ほら杏子、コーヒーぐらい入れなさい。」
「え!私が・・・」ちょっと抵抗気味に杏ちゃんが言った。
「当たり前でしょ、今ご飯作ってんだから。」
「ほーい」
「やっぱり、お邪魔だったのでは?」小声で杏ちゃんに言ってみた。
「大丈夫よ!いつもの事だから。」
「いつもの事って、杏ちゃんはいつもコーヒーも淹れないって感じ?」ちょっとチクっと嫌味を言ってみた。
「もう!!」って言って、お湯が沸いたのでキッチンに取りに行った。
杏ちゃんがドリップにゆっくりとお湯を注いでると、とてもいい香りがしてきたので
ついつい口から溢れた
「コーヒーを淹れるこの香りは、たまんないなぁ」久しぶりにコーヒーの香りを嗅いだようだった。そういや親父は朝、よく自分で淹れていたなぁ。僕は、もっぱら牛乳オンリーだけど、カフェはオー・レのノンシュガーこれが僕のドリンクスタンダード。
って心の中で呟いていた。
「砂糖とミルクは?」と聞かれたので即座に
「牛乳!ミルクではなくて、牛乳。カフェ・オ・レにしたくてね。」
「へ〜、良太にぃは以外とお子ちゃまなんだ。」
「好きに思えばいいさ!」
「ところでアメリカはどうだったの?」って杏ちゃんが聞いてきた。
「別に特別って感じは無いかな、でもまだまだアジア人に対する差別があるかも。時々ジロジロ見るおじいさんが公園なんかで見てくるかな。でも特にひどいヘイトスピーチはないかな。」
「ふーん。」いやいやなんで無関心!自分で振っといて!
「ところで、良太にぃって、英語はペラペラ?」唐突に聞いてきた。
「まぁ、生活レベルで普通に使う分は、喋れると思うよ、だから来年は外大受けようと思ってるから。」ちょっと気楽やからね。
「じゃ、英語教えて!」
「?」
「ご飯出来たわよー、今晩は唐揚げ!!てんこ盛り!」
「ウォ〜、美味しそう!」と思った瞬間、グギュルギュル〜、いかんお腹が・・・
「こら、杏子、良太君を困らすんじゃ無いよ」
「だって〜、英語の点数悪いんだもの。」
「さ、食べましょ!」っと杏ちゃんが英語の話題を反らすように言った、
「いただきます!」
こりゃ美味い、ニンニクの風味とタレの染み込み具合そこらの弁当や店屋物が比べ物にならないぐらい美味い唐揚げだ!
その夜は、たわいもない話で盛り上がり、久しぶりの家族で食べる、を実感した、夕食だった。
「ご馳走さま。本当おいしかったです。」
「いつでもおいでね!夜勤でも弁当作ってるから。」
「お気遣いありがとうございます。」と幼じみの田中家を後にした。




