魔法少女から逃げられない。何処までも追ってきた魔法生物のマスコット【11】
「た、ただいま~」
「おかえりな、さ、い?」
帰ってくるのが夜遅くになり家の扉を潜った先には鬼と化した母さんがいた…
のだが俺の姿を見て母さんの状態か一変する。
「あんた…直ぐにお風呂に入るわよ」
俺の変わり果てた姿に驚くとか、
本当に俺なのかという確認はせずに俺の腕をひっつかむと、
母さんは俺を風呂場に連れて行った。
それから母さんの行動は早かった。
脱衣所で俺の脱がすと自分も脱いで俺を風呂場に押し込む。
それから丁寧に体を洗われ…
というよりもくまなく撫でまわして何かを確かめているみたいだった。
その表情は完全に焦っていて見つからなかったらどうしよう。
みたいな感じになっている。
言葉一つ喋らず母さんはともかく入念にチェックをしている。
俺はなされるがままそれを受け入れていた。
正にまな板の上のコイの様な有様で自分の女になった姿を、
確認するなんて時間もなかった。
丁寧に母さんが使っているボディーソープを使って体も洗われ、
髪の毛も優しくほぐされる。
その髪の毛や体からは溜まった土埃を大量に含んでいたのか、
俺が入っただけでお風呂場は茶色く汚くなる。
うわぁ…
どんだけ汚れていたんだ俺はなんて事しか思えなかった。
けれど俺を洗い終わった母さんは呟く。
「断線はなしね」
お風呂に浸かってのんびりとなんて時間はなかった。
母さんが先に脱衣所に先に戻ると着替え俺を迎え入れる。
すぐさま体にバスタオルを巻かれるとドライヤーで髪の毛乾かした。
長く腰の辺りまで残った髪を綺麗に櫛で梳けば鏡の中には美少女の俺がいた。
のだがそれをマジマジと見ている時間はなかった。
そのまま今度は母さんと父さんの寝室へと連れ込まれる。
そして箪笥の一番下の引き出しを開けるとそこには大き目の木箱が入っていた。
母さんがそれを取り出してベッドの上に置くとその蓋を開く…
その中には明らかに普通の服じゃない…
魔法少女用の服が…
魔法少女しか着る事の許されない制服が入っていた。
新品なのかパリッとノリ付けされたそれは未だ着用した形跡っもなく…
けれど、
「か、かあさん?なんでそれ(魔法少女用制服)があるのかは、聞かないけど…
お、俺にそれを着ろって言うのか?」
流石に非常事態でもなければ女物の服なんて…
とか、いきなり女にされてそれて女物の制服なんて…
精神的にきつい。
せめて何時も来ている服がブカブカでもそっちを着たかった。
「当たり前でしょう?」
「いや、部屋に自分の服あるし…
色々話す事はあるけど、非常事態は過ぎ去ったんだから、
ゆったりとした格好で…」
「その非常事態なのよ!文句言っていないで着なさい!」
「は、はい」
それから母さんの持っていた魔法少女用の制服を着る事になった。
と言っても魔法少女が着ていた制服に比べてもちろん古めかしい。
というより…
自分で着る制服じゃなかったのだ。
誰かに着せて貰う制服だった。
そしてデザインも古さを隠しきれないのと…
身に着ける物も多かった。
けれど母さんの手は止まらない。
それは現代では考えられないほど古めかしい物で…
たぶん一着一着手作りの下着だった。
革で出来た下着に肌触りの良い生地を内張にした物だった。
下着というには武骨すぎる気もするがロングブラ形状の、
ブラジャーを充てがわれるとサイズはほぼピッタリで緩く背中側で調整されれば、
体に張り付くようになって胸を優しく包み込む…
のではなくて体に完全に固定する形となる。
それは言い換えればきつくしてでも、
体の動きを阻害する胸の動きを抑え込む為の物だった。
揺れ動くとかは一切許さない。
肩に掛けられた紐ですらちょっと太めに作られていて体に食い込む事を、
軽減するようにデザインされていた。
背中側で途中から2本に分かれた太めの革紐はぴったりと張り付き、
俺のロングブラの背中の取り付け場所に長さを調整されて固定された。
それだけでちょっと苦しく感じる。
「か、母さん、ちょっと苦しいから、緩めて…」
「我慢しなさい。これから毎日身に着ける物なのよ。
そんな、苦しいなんて言って、られなくなるわ」
そうしたら今度はウエストニッパーだった。
コルセットにも似た腹巻の様なそれをお腹全体を包み込むように巻かれていく。
小さいフックを使って更に体のラインを整える様にされるそれはもちろん、
そんな為に付けられる物じゃなかった。
ロングブラをしっかりと支え胸の動きを最小限にする為の物で…
それを巻かれた後は男だった時の様に胸前に何かが、
ぶら下がっている様に感じていた物が消えた。
体の前で揺れ動く物が無くなっただけでも楽になる。
それからガーターベルトを巻かれると、
それに引っ掛ける為の真っ白な長い靴下を履かされそうになる。
流石に今日はもう出かけない。
だからこれは要らないんじゃないか?
「出かける訳じゃないから、靴下は」
「今は、非常事態なの!黙って。後で説明するから、
今は早く身に着けて!」
母さんの慌てようは半端じゃなかった。
俺はしぶしぶ足を上げるとその靴下に足を通していく。
それからロングブラやウエストニッパーとデザインを合わせた、
ショーツの様な物を股に宛がわれた。
フリルいっぱい可愛い下着で女の子が喜びそうなデザインだった。
けれどそれを覆い隠す様にその上から革でできた頑丈そうな、
オムツを宛がわれる事になる。
「な、なんで?さすがに」
「大丈夫。しておくことに越したことはないわ。
これから、絶対に動けなくなるから」
これはもう俺の身に何かが解らなかったがエライ事が起こると母さんは考えている。
そしてそれは思っているのではなく核心として知っているのだ。
だから焦って俺に魔法少女用の制服を着せようとしている。
たぶん何かヤバい事が俺の体に起きている?
ともかく強めの口調で母さんは俺に命令していく。
そしてその手は止まらない。
その上からズロースを穿かされておむつを見えない様に隠してくれた。
丁寧に俺の体を包み込んでいく。
次に手渡されたのは長い二の腕まであるロンググローブだった。
魔法少女もしているから…
なんとなく想像は出来ていたがそんなに長い物を身に着けさせられているとは、
思ってもみなかった。
小さめに作られたソレは手にしっかりと馴染むように作られ肘や手首指先の動きを、
阻害はしないけれどとても 厚く作られているみたいだった。
なのに不思議な感じで…
その白いロンググローブは自分のもう一枚の皮膚に感じられた。
露出を最小限にする為のグローブは繊細に作りこまれているみたいで
決して動きを邪魔しない。
それでいて露出感が全くなくり厚く頑丈な何かに守られた綺麗なものだった。
その手の甲の部分には何か特殊な刺繍が施されていて…
それはいわゆる槍を持った羽の生えた女性の刺繍だった。
それからハイネックのブラウス。
これも今の魔法少女と違って前面には過剰なフリルが縫い付けられた物で、
背中側でボタンを使って着せられる特殊な物として仕上げられていた。
生地自体も一枚のペラペラな物じゃなくてたぶん2枚重ねになっている。
それはよく伸びる生地なのか袖を通すと少々小さめで綺麗に俺の体に合いながら、
引き延ばされる。
フルオーダーメイドの製品の様にピッタリのサイズに化けていく。
背中側で細かいボタンを留められていくと今度は袖先を整えられた。
綺麗に手首の所でカフスリングを使ってきつく固定されそのカフスリングには、
綺麗な宝石の様な物が取り付けられている。
それは魔法少女が結界を張る時に使用した宝石と同じ様にも見える。
けれどもその大きさは全然違って明らかに俺が身に着けた物の方が大きい。
それからレギンズを穿かされるとその上から股まであるフリルの付いた、
厚手の靴下を履かされた。
更にその上に足の形の革袋を穿かされ足首でベルトを使って固定される。
まるで室内履きを穿かされている様なけど靴とは違い柔らかい物だった。
今度はその上から長すぎるジャンパースカート…
なのだが問答無用で頭から体を通す様に着せられると、
手早く脇下のチャックを上げられて背中側にある大きさ調整用のベルトを、
絞められて体に宛がわれた。
その上からスカートの広がりを抑える様に長めの厚手の革で出来た、
真っ白なコルセットを腰に宛がわれる。
これには魔法少女のカフスに取り付けられていた、
小さな光物が深く埋め込まれて模様を作り出していた。
いくつも取り付けられ縫い付けられている光物は、
明らかに魔術的な何かを示しているのはなんとなく理解できる。
その魔法陣を隠す様に度はダブルのベストに腕を通す事になった。
そのベストがまた明らかに何かが内側に仕込まれたいわゆる、
防弾チョッキを想像させる装甲が縫いこまれた物だって事は身に着けると、
肩にのしかかる重量とあの魔法少女から借りていたダメージを負った、
ベストの中身を見れば想像できてしまう。
最後に背中側だけ長く作られた大きな襟を持つボレロに腕を通した。
ボレロもまた前を大きく重ね合わせる形で作られていて、
袖の内側にはそれ相応の物が埋め込まれているのかそれなりに重く作られていた。
そして前面で重ね合わせる部分の隠れる方には、
コルセットと同じ様に魔法陣が刺繍され重要な要石のように大き目の宝石が、
埋め込まれていたその魔法陣を重ね合わせ2列に並んだ大き目のボタンで、
留められると魔法陣は見えなくなる。
そして体に張り付くように調整されると綺麗に身に着けさせられた。
それから首元に大きいな宝石付きのリボンを取り付けたら制服の装着は終わり…
なのだが・・・
「か母さん、それは?…」
「これで終わりだから。さ、腕を通しなさい」
それは冬に着る様な袖先と襟元に大き目のファーが縫い付けられた、
ダブルのロングコートだった。
流石に夏が近づくこの時期にそれは着ていられない。
けれど母さんは容赦なく俺の腕を掴んでそのロングコートを俺に着せてくる。
体のラインが浮き出るほどのサイズのそのコートを着せられた俺は、
ダブルのボタンを留められたら最後に腰の括れた所を、
太い専用のベルトで固定された。
首は完全にファーで包まれて埋もれる形となり袖も長めに作られているのか、
白い手袋に包まれた手を完全にファーの中に埋もれさせる。
真新しい服の匂いと魔法少女独特の甘い香りが立ち込める。
同時に俺の格好は真冬の外出着の様な有様になっていた。
長い髪の毛もコートの中に押し込まれこれまた暖かそうな、
凝ったデザインのリボン付きの可愛らしい帽子を頭に乗せられ、
綺麗な紐を使って顎下で紐留めされた。
まるでゴシックロリータファッションの様な有様だった。
明らかに一世代古いデザインで…
なんで母さんがこんな服を持っているのか…
考えるまでもないか。
が流石にコートは我慢できない。
「かあさん!いくらなんでも…」
腰のベルトに手を掛けて外そうとすると思い切りその手を握られて、
ダイニングルームの幅の広い所に引っ張って来られた。
モコモコで着ぶくれしている状態に近いのに俺は動きを阻害される様な、
抵抗を感じなかったこの制服にちょっと驚きを覚えた。
それに反して重量は重めで普通の女の人が着るのには重すぎる気もする。
そこで腰を下ろすように促されて俺は絨毯の上に座り込む事になるのだった。
そうすると俺の使い魔?が俺を取り囲むようにまた、
俺の背中側に回り込みまた羽を広げて俺を包み込もうとする。
母さんはその様子を見ながら俺の前に座って…
俺の両手を取った。
その瞬間母さんも淡く光り出し俺とその光で繋がる。
その瞬間母さんは苦悶の表情を浮かべて俺に話しかけてきた。
「魔力回廊は予想通り暴走中。
使い魔とのラインも細すぎる。
ああっ、もう!なんでこんな事に!」
漏れ零れる言葉から想定外の事態は深刻でそれをどうにかしようと、
しているみたいだった。
けれど俺には何が深刻なのか解らない。
母さんは状況を理解しようとしない俺にいら立ちを覚えながら話してくる。
「いい?聞きなさい!あんたがどうして魔法少女に変態したのか、
それは今は聞かない。
けど、そのせいでアンタの体はおかしな事になってんの!
魔力回路を流れる魔力量が多すぎて、このままだと、臨界を迎えて、
自壊するの!壊れるの!
その前に、魔力回路を流れる魔力量を
コントロールしなきゃいけないんだけど…
体が、痛いとか思わないから、限界上の魔力が体をめぐってる。
今のアンタはアクセル全開で走っている車で、このまま行ったら、
壁にぶつかるか、崖から落ちるのよ!
まずは気分を落ち着かせて…
呼吸を整えなさい。
気付いてないかもしれないけど、今のアンタは息も荒い。
物凄い疲れているはずなのに、
体が疲労を感じていない状態なの。
今。通常の状態に引き戻してあげるから、
そしたら、思い切り苦しくなるわよ」
母さんはそう言いながら俺に何かをしているみたいだった。
次の瞬間…
「ぐっふ…」
全身から強烈な痛みが襲って来る。
全身に強烈な電気を流されているかのような。
痺れるような痛みと同時に通せない穴を無理矢理広げているかのような、
体の中から膨らんでいく感覚が…
もう食べられない状態なのに料理を次々と自分の意志とは関係なく、
食べ続けている感覚だった。
「うっぐぅ」
息が荒くなっていたというのも理解出来ていて、
確かに全力で運動した後の様なハアハアと肩で呼吸する事を、
していたと体が思い出したかのように動き出す。
痛い。
全身が。
そして体が燃える様に熱い。
逃げていた熱が体の中で暴れる様に動き回っていた。
「ああっ」
コートの腰のベルトに手を伸ばそうと自然と体が動こうとする。
けれど少しでも動けば体に激痛が走る。
「い、いてぇ…なん、だ?これ?」
洗濯板に全身をこすりつけられている様な異様な痛みの波が全身を駆け巡る。
けれど母さんは俺の手を離さない。
「もう少しだから、我慢しなさい。
それと、服を脱ぐのは絶対ダメよ。
魔法少女の服にはそういった場合に、魔力の流れを整える効果も、
期待できるから…
しばらくは、着たまま耐えなさい」
「あ、あが、う、っそだ、ろ…」
もう言葉なんて話している余裕はなくて…
俺はそのまま後ろにいる使い魔に向かって倒れ込んだ。
母さんは着ているスカートとコートの形を整えると、
その場で俺の足を延ばしてお腹の上で俺の手を組ませる。
「環を作る事で、巡りをコントロールしやすくなるから。
ともかく慣れて魔力の流れが大人しくなるまで頑張りなさい!
使い魔とのラインも弱いからもう直接触れて補うしかないわよ。
少しでも負担を軽減してもらいなさい。
ともかく耐えて普通の流れになるまで我慢よ!我慢!」
そんなふうに励ましてくる。
結局全身に走る痛みは治まりそうもない。
確かに母さんの言った通り俺は動けない。
痛すぎで何が痛いのか解らなくなって来ていた。
風呂上りでさっぱりしていたはずなのに大量に汗もかいてきている気がする。
もう動きたくない。
俺はこのまま使い魔を枕にして眠る事になる。
何も喋れない。
痛すぎて動けない。
そんな激痛に耐えながら…
そんな俺に母さんは毛布を掛けてくれる。
「まあ、なんとなく想像は出来ていたけれど本当にいきなりね。
そして予想以上に酷いわ…
もう今日はこの場でこのまま寝なさいね。
その間に私が出来る事は殺っとくから」
「あ、うん…」
俺がその日話した言葉はそれが最後だった。
母さんのキレ具合と、
俺の体の事。
それから魔法少女と…
俺のこれからの生活。
色々考えなきゃいけない事は多いのだが…
もう俺は痛すぎてそれどころじゃなくなっていた。
そして動けない俺は、
そのままのその日はもう動くことなく終わりを告げる。
そしてキレていた母さんは俺が意識を失ってから、
本領を発揮して魔法省の人がとんでもない事になるのだった。
魔法少女になってしまった彼の明日は、どうなる?
希望にあふれた生活になるのでしょうか?
と言う訳で、終わりです。
TS特有の女の子になって、
嫌がりながら可愛い服を着せられて、
可愛いと言われ、屈辱を感じるという定番の流れですが。
主人公の場合、もはや着ないと命にかかわるので、
恥じらいとか、感じている余裕はありません。
ともかく、全てを知っている「お母さま」が、
息子?いや、今は娘か。
娘の命を守るために、
無理矢理可愛らしい制服を着せました。
魔力の暴走が終わらない事には、あの可愛らしい魔法少女の制服も、
主人公は脱げません。
それ以前に全身激痛が走る状態で動けませんが。
「可愛い可愛い」と周囲に言われ。「俺は男なんだ」と叫んで抵抗する、
TS特有の、反抗シーンはこの主人公には無さそうですが、さて。
物語的にはここでひと段落です。
続きも書けますし、書くつもりでいますが、
キャラクターに名前を与えて、しっかりとした話にするか、
それとも、このまま、ゆるふあでやるか悩み中。
ともかく、次回からは主人公のお話ではなくて。
主人公のお母さんの話となります。
主人公を魔法少女にされた、お母さんがガチギレして、
魔法省の人を地獄に叩き落とす話が数話、挟まると思います。
以上これからの方針と物語の展開方向の報告でした。
≪魔法少女からは逃げられない≫
≪何処までも追いかけてきた、魔法生物のマスコット≫
ご愛読ありがとうございました。
次回からは、
≪魔法少女のお母さん。魔法省の人にガチギレする≫
が始まります。




