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52.続・ミステイク
出入り口を覆っている布から母様の魔力香がした。
「…クリスの手巾?いや…制服かな?」
カグラを足元にそっと置いて、恐る恐る触ってみた。
手巾のような柔らかくて薄い感触ではなく、司祭平服のような手触りがよくて丈夫な厚地の感触だった。
「…クリス、着替えているの?」
それにしては人の気配がしないような…。
「…沐浴中かもしれません」
カグラが独り言に答えた。
「あー…クリス、こんな時でも真面目なんだなぁ」
聖職者は、朝5時と夕方17時が固定、血や呪具など穢れに触れた時は不定で、沐浴をし、身を清めないといけないのだ。
「…真面目というより、やることがなくて暇だからだったのではないでしょうか?」
カグラは控えめに言った。
「あー…」
箱庭船車を召喚する前、クリストフが僕の仮住まいの家をつくろうとしていたことを思いだし、納得したのだった。




