34.主役のいない誕生日…後編
シリウスと再会するまでの話⑤
-2025/08/08 06:00-地底湖にて
ご先祖が眠る祠へ、氷で作った蒼銀の薔薇を供える。
(…氷属性のない『堕天使』が氷の精霊と、契約するまでは、私が代理でご先祖に氷の献花をしなければいけないのだろうな。)
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-08:00- 書斎にて
『ラファエル』が朝の祈祷へ行っている間に、今日中に片付けておかないといけない書類へと、手をのばす。
どれくらい時間が過ぎたのだろう。
コンコンと、扉をノックされて、我にかえる。
「…誰だ?」
「…レイブンです。フェンリル卿」
“レイブン“
堕天使が怪我しているところを保護した有翼族の青年だった。
「…入れ。」
「…フェンリル卿、ガブリエル様から手紙が届きました」
一礼をして入ってきた『レイブン』は、その名前通りに漆黒の髪と翼を持つ。
「…ガブリエルから?」
先代の『ガブリエル』は、マリアの実母で、
マリアが『眠り姫』になった4年前に亡くなっている。
(そんな彼女からの手紙とは、いったい…)
「…えぇ、そうです」
『レイブン』は不思議そうな顔をしながら、夜空の封筒を私に差し出した。
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【セレナイト教】
氷の精霊王の子孫であるルドルフ家は薔薇を、
氷の精霊と契約した者は百合を、
それぞれの誕生日に供え、感謝を。
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