31.美しき野獣
side『ラファエル』
シリウスと再会するまでの話②
音の出所は、やはり、アイツの私室だった。
バシバシと、扉を叩く。
それまで聞こえていた破壊音がやむ。
もう一度、扉を叩く。
扉の取手を動かす。
どうやら、施錠しているらしい。
「う“-」
扉のむこうから、いつになく低音な唸り声。
どうやら『野獣化』しているらしい。
「オリオン、開けてくれ」
もう一度、扉を叩き、声をかける。
「う“-…」
唸り声は否定の合図。
「…オリオン、なぜ、拒む?
私は野獣の姿でも愛していると言っただろ?」
「………っ」
「ん?」
「…ず…け…く」
苦しそうな息遣いと掠れた声
「オリオン?」
「……っ、きず、…、ない」
「…傷つけたくない?」
『野獣化』は全てにおいて本能でうごく。
建前は、幼なじみ兼先輩と後輩。
本音は、同性結婚が許される世界なら、出会ってすぐに婚約し、成人したら結婚しているほど愛し合っている。
「私は、お前がつけた傷ですら、愛おしいのに?」
私はアイツ…オリオンに気づかれないよう、話を続けながら、鍵穴から『薔薇の蔓』をのばして内鍵から解除して、そっと扉を開く。
「…っ!?」
蒼銀と若葉の切れ長な瞳を持つ、夜空の艶やかな毛並み犬狼姿のオリオンが、扉のほう…私がいるほう…をむいて、驚愕な顔で固まっていたのだった。
登場人物-保護者枠-
『ラファエル』
本名:クリストフ・クリスタル・セレナイト
・セレナイト教会の教皇
・マリア(クリスティーナ・アイリス)の養父
『ミカエル』
本名:オリオン・ダイヤモンド・ルドルフ
・青バラの館に住むルドルフ公爵
・元騎士団団長
・ルシウス(シリウス・ルーク)の父親




