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やってきた救世主

「いやーー、何か騒がしいね」

「そうね、そうね」

「本当にここであってんのか?」


親父と一緒に育てていた草一つ生えない田んぼに、人が生えた!!!

俺は、驚きながらも近づく。


「あーー、よかった人がいるよ」

「えっと、人ですか?」

「そうだよ。悪いけど、助けてくれるかな?足が外せなくて」

「あっ、ちょっと待って下さい」


俺は、近くに置いてるバケツから短剣を取ってくる。

三人の人間の足元を掘る。


「固い……。ちょっと待って下さい」


土が固まっている。

周りの土を短剣で削る為に差し込んだ瞬間だった。



ビカッ……ン


「な、何だ?」


稲妻のような光が包み込んだ。


「あーー。やっぱり君が勇者の末裔だ」

「えっ?何?」


三人は、いつの間にか土から抜けていた。


「ほら、彼が言ってた異世界がここだよ。やっぱり、あってたんだよ」

「へぇーー。じゃあ、これも使えるんだな」


オレンジ色の髪の色をした男が手に持っている何かを押す。

すると、キラキラと粒子が舞う。


「何で、作物が……」


目の前に俺達が植えたリンゴの木が生えた。

三人は、リンゴをもぎ取って噛る。


「うわ、めっちゃ甘」

「ほんとね。やっぱり、最高だな。ここ」

「信じてよかったわね」


嬉しそうに三人は笑っている。

俺は、頭が追い付かない。


「な、何だ!何で、リンゴがなってる」


振り返ると顎が外れるぐらいに口を開けた親父が立っていた。


「よかったら、食べますか?」


メガネをかけた優しそうな男が親父にリンゴを差し出す。


「お前ら、魔女なのか?俺達一族を滅ぼす為に来たんだな」


親父の言葉に三人は、ケラケラと笑う。


「やべーー。マジで、異世界人じゃん」

「滅ぼすって何の世界の話なの?」

「変わり者の一族って聞いていたけど本当だったようだね」


何だ、こいつら?


「王子、誰だ?」

「いや。そこで作業してたら、突然生えてきた」

「生える?人間が生えるわけないだろうが!」

「知らないよ。本当に生えてきたんだから……」

「そんな話は、聞いた事がない。だから、どこかの種族でやってきたんだ。どっから来たか思い出しなさい」

「だから……!!」

「あのーー」

『うわーーー』


メガネをかけた人がいつの間にか俺と親父の間に居て驚いて腰を抜かしそうになった。

いや、親父は抜かしていた。


「すみません。驚かせてしまって」

「い、いえ、大丈夫れすしゅ」


親父は、カタカタと震えている。


「突然なのですが、私達家族とあなた方家族と住む場所を交換して欲しいのです」

「えっ?」

「実は、私達はある理由でここに来たんですよ。いやーー。本当にのどかでいい場所ですね」

「確かに場所はいいですよ。ただ、テント生活でね。腰が痛くて」

「あっ、それは大丈夫です。我々には、これがありますので……。お城も0.1コンマいちびょうもあれば建つんで」

「いやーー、それはないでしょう」

「じゃあ、やってみましょうか?」


男は、少し歩いて何かを押す。

な、何が起きた!?

瞬きしてる間に、お城が建った。



「えーー。嘘だーー。どうせ砂の城なんでしょう?」


親父は、ガタガタと膝を震わせながら立ち上がる。まるで、生まれたての子馬だ。


「王子、助けてくれ」

「はいはい」


親父の手を肩に回して、お城に近づく。

はりぼてか砂の城だと思っていたのに、ちゃんとしたお城だった。

あの手にあるものを奪えば快適な生活が送れる。

俺と親父の考えは一致していた。


「あらあら。奪うなんて怖い考えよ」

「な、何で……?!」


何故か、女の人に心を読まれていた。


「やっぱり、お前達は魔導士だな!しかも、かなり悪い方の。滅亡したと聞いていたのに生きていたのか!王子、その剣で刺すんだ。そしたら、こいつらは消える」

「随分酷い事言うな、おっさん」

「おっ、おっさんだと?!」


オレンジ色の頭の男が俺達に近づいてくる。


異世界こっち現実世界あっちを代わってくれって、親父は言ってるだけだろ?別に、勇者でもなくて。村も追い出されて食い物もなくなりそうなんだから、代わってもよくないか?」

「なっ、なっ、なっ」


こっち?あっち?

俺には、理解出来ない。

一体、何の話をしてるんだ?

親父があたふたしているのを見て、このオレンジ色の髪の男はタダ者じゃないのがわかる。


「やめなさい。早苗さなえちゃん」

「え、ぇぇ。女の子?」

「あぁ!!そうだけど」

「な、な、な。嘘だろ」

「嘘じゃねーーし」

「ごめんなさいね。この子、昔から乱暴な言葉使いだし、男の子みたいな態度してるのよ」

「うるさいよ!お袋」


見るからに優しそうな母親は、ニコニコと和やかに笑っている。


「それで、おっさん。勇者やめたなら、この村にいる必要ないだろ?」

「な、な、何で。俺達が勇者じゃないって知ってるんだ?」

「それは、魔導士さんに聞いたから。いい魔導士だよ!これだったかな?」


早苗さんは、小さな薄型の箱を取り出す。

画面がスラスラと動く。

不思議なものを操っている。

暫くして、スライドを止めた。


「これだ。あった、あった」

「何だこれは?」


小さな薄型の箱の中で、人が話し始める。



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