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4.



 ジージルは私の父の親友の子どもだ。ジージルの父は平民であったけれど、父はそんな事は気にせずジージルの父と学園を通して出会い交友を深めていった。ジージルの父は土属性の持ち主であり、上級魔法を扱えるほどの腕を持っていて父より魔法の扱いが上手かった。そんなジージルの父を私の父は誇りに思っていたようでよく母も交えて笑い合っていた姿を覚えている。そんなわけでジージルとは幼い頃から関わり合いがあった。



 だけどだんだんとジージルの父と私の父は喧嘩をするようになり、ジージル達は私達の家には寄り付かなくなっていった。だけど今から10年前ジージルの家族に不幸な事故があり、ジージルだけが残されてしまった。そして、そんなジージルを父は親友の忘れ形見としてうちに引き取ったのだ。でも、



「…ジージル。その頬どうしたのよ」



「別に何でもありませんよ」



「…何でもなくはないでしょう?」



 ジージルの頬は赤くなっていた。大体の予想はつく。たぶん父か母に殴られたのだ。ジージルの父は土属性だったけどジージル自身は火属性だった。父にとって親友の息子だから引き取ったものの尊敬していた親友の息子が火属性だったことが許せないらしく姉と同様ジージルも虐げる対象となっている。そんなこと引き取る前からわかっていたくせにどうして引き取ったのかは謎だ。



「…はぁぁ。どうせまたお父様かお母様にやられたのでしょう?今回はどんな理由だったの?」



「バレてますか?下らない理由ですよ。ただ視界に入っただけです」



「………」


 …本当に下らなさすぎて言葉も出ないわ。



「それでミルー様はどうしてここに来たんですか?何かあったのはバレバレなんですからさっさと話してくださいね」



 …こっちを見て聞きなさいよっ。



 やっぱり腹が立つ。



「…別に。お父様達から縁談が来てるって聞いただけよ」



「またですか?まぁミルー様見た目だけなら美人ですからね」



「…見た目だけってどう言う意味よ」



「ほら?ミルー様って高飛車で貴族のご令嬢って感じですけど中身肝っ玉母さんみたいな所もあるじゃないですか?」



「…それ褒めているの?」



「もちろん」



 じゃあこっち見なさいよ。誰が高飛車で肝っ玉母さんよ!!それのどこが褒めてんのよ!!



 こっちを見ないで土を弄り続ける男にどんどんイライラが募っていく。



「それで今回はどなたから話がきたんですか?」



「…あなたもびっくりする相手よ」



「びっくり?」



「ええ」



 ジージルは私に姉の婚約者から婚約話が来ているって知ったらどう思うかしら?



 ジージルはたぶん姉が好き。よく2人でいるのを見かけるしここにもよく通っている。姉が父達に叱られている時、ジージルは昔から姉を守ろうと前に立っていた。ジージルにとって姉は大切な存在のはずだ。そんな姉の婚約者が姉との婚約を破棄して(たぶん)私に乗り変えようとしているのだ。姉の婚約話がなくなればいつまでも姉もジージルもこの家に縛られる謂れはない。両親も2人のことは目障りに思っているのだから2人揃って愛の逃避行をしたところで放置して2人とも死んだことにするだろう。だからこそ私とカーバルとの婚約話はジージルにとって嬉しい話のはず。



 さぁどんな反応を見せてくれるのかしら?



「で、誰からなんですか?」



「お姉様の婚約者であるカーバル様からよ」



「………は?」




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