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13.




「ルルー。私との婚約を破棄して欲しい」



 そう両親が見ている中でカーバルは私の腰に手を回しながら姉に向かって言った。



 ーーあれから2日が経ちカーバルが来るなり私は両親から庭に連れ出されカーバルに引き渡された。そして、カーバルは姉に会うなりすぐに私の腰に手を回して私を抱き寄せ婚約破棄を話題に出した。そんな私達をニコニコ笑顔で見ている両親と両親に見えないようにして額に青筋を浮かべながら控えているジージル。



 …はぁぁほんと予想通りのことしかしないわね。



「わかりました」



「私と婚約を破棄することが嫌なことはわかる。私ほど美しく気高く完璧な存在はいないからな。だが私は真に愛すべき唯一の人を見つけてしまったんだ」



「別に嫌ではありませんから安心して下さい。カーバル様とは婚約を破棄します」



「その相手は今私の隣にいる君の妹のミルーだ。私には2人の女性を同時に愛することはできないっ。ルルーすまない。泣かないでくれ。私も辛いんだ!」



「…泣いていませんしわかりましたから話を聞いてください」



 カーバルは姉の話を聞かずに自分に酔っているかのようにありきたりな言葉を発し続ける。その間カーバルの腕はずっと私の腰を抱いている。…今すぐ張り倒して逃げたい。鳥肌が立ってきた。



「ルルー!!カーバル様はミルーを愛しているの!!出来損ないの姉はさっさと身を引きなさい!!」



「これ以上ミルーの幸せを邪魔するな!」



「…邪魔をするなも何も私はわかったと言っているのです。カーバル様との婚約は破棄します」



「本当か!!ありがとうルルー!ミルーこれで私達の愛を邪魔するものはいなくなったぞ!私達はやっと一緒になることができるんだ!」



 カーバルはやっと姉の言葉が聞こえたのか輝かんばかりの笑顔で私を見てくる。そんな笑顔を見るとついドン引き素で言葉がでてしまう。



「…え?嫌ですけど?何故あなたなんかと一緒にならなければいけないの?これで私達の愛を邪魔するものはいなくなった?あなたと愛を育んだことなんて一切ないし気持ちの悪いことを言わないでくれる?あなたみたいな頭空っぽのナルシスト人間と一緒にならなければいけないなんて罰ゲームじゃないんだから冗談じゃない。あといつまで私に手を回しているつもり?気持ち悪いからさっさと離してくれる?セクハラよ?」



「…………え?ミルー?」



「こ、こら!!ミルー!!お前カーバル様になんてことを言うんだ!!」



「あら?本当のことでしょうお父様」



 付き合ってもいない。ましてや好きな相手でもない人から触れられこんな至近距離でいられたら誰だって嫌に決まっている。カーバルが私の言葉に呆気にとられている隙にカーバルの手を引き剥がし姉の隣へと立つ。



「何が本当のことだ!!カーバル様はお前の夫となる者なのだぞ!」



「そ、そうよ!それにカーバル様ほど素晴らしい方はいないのよミルー?」



「顔だけよね?魔力を持っていてもろくに扱えない相手のどこが素晴らしい方なのお母様?しかも物事笑っていれば何でも解決すると思っているナルシストのお坊ちゃまなのよ?さっきもろくにお姉様の言葉を聞かずに自分の言葉に酔っているし馬鹿なんじゃない?」



「ミ、ミルーどうしたんだ?何故そんな反抗的な態度を…っルルー貴様か!!貴様がミルーに何かを吹き込んだのだな!!」



「あなたもしかしてカーバル様をミルーに取られないためにミルーにカーバル様の悪口を吹き込んだのではなくて!?」



「そうなのかいルルー!!何故そんな酷いことを!!」



「はぁぁ…」



「…別に何も吹き込んではいませんわ。ミルーはあなた方と違って賢い子なんですからそんなことをする必要はありません」



「…違ってって…っ!それはどう言う意味だルルー!!私達を馬鹿にしているのか!」



「そうですわね。よく気づきましたね?」



 本当によく気付いたな。父もカーバルほどとは言わなくても結構馬鹿なのに。



「き、貴様!!親に向かって馬鹿だと!!貴様のような出来損ないのゴミをここまで育ててきてやった私達に向かって何という口の聞き方をするんだ!!」



 淡々と答える姉に父は我慢の限界にきたのか怒りに顔を真っ赤に染め上げながら姉へと殴りかかる。…相変わらず沸点が低い人だ。だから痛い目に遭うのだ。



「…はぁぁ」



バキッ!!



「ぎゃぁぁぁあ!!」



「あ、あなた!!」



「し、子爵!?」



「お姉様大丈夫?」



「ミルー様大丈夫ですか?」


 

 大きな声で倒れ込んだ父を無視して横目で姉に尋ねる。その時にジージルもこちらへやってきた。



「私なら大丈夫よ。風魔法で守ったから」



「そう」



 魔法を使ったのは知っていたため心配はしていない。だけどどこか姉の様子が浮かれているように思える。まぁ姉も随分鬱憤が溜まっていたようだし仕方がない。父の方を見るとうるさく声を出しながら転げ回っている。あの音は多分骨までいってしまっただろう。まぁ父の自業自得だし仕方がない。



 ………って



「ジージル!!あなたいつまでパサパサと私の服を叩いているのよ!!」



 私達の側に来たジージルはすぐに私に近づくとカーバルが手を回していたあたりを何か払いのけるようにずっとパサパサと叩いていた。



「当たり前です。…カーバル様が触れたんですよ?」



「…だからってね…」



 私の言葉に至極真面目そうに言葉を返すジージルに呆れてしまう。そんな私達を見て懲りない父がまた怒鳴り声をあげた。



「ル、ルルー!!き、貴様!!よくもやってくれたな!!」



「ミルー!!そんな危ない女から早く離れなさい!!」



「な、なんて暴力的な女なんだ。や、やっぱり僕の相手はミルーでないとダメなんだ」



「「「………」」」



 何故ここで姉が暴力を振るったことになっているのだろうか?姉は自分を守っただけで父のそれは普通に自業自得だ。カーバルも父が姉に殴りかかるのを見ていたくせに何を言っているのか…。



「はぁぁ…お父様がお姉様に殴りかかったのがいけないのでしょう?」



「ミルー!?何故そんな奴の肩を持つのだ!!」



「ミルー!!早くそいつから離れて僕の元へ来るんだ!!危ないだろう!!」



「…はぁぁ」



「ミルー!!」



 カーバルが子鹿のように足を震えさせ内股になりながら私に向かって叫ぶ。せっかく顔はいいのにもう全てで台無しにしている。そんな様子を呆れながら見ているとさっきのカーバルのように今度はジージルに腰を抱かれ引き寄せられる。



「ミルー様」



「っ!?な、何!?」



「なっ!お前何をやっているんだ!!ミルーは僕の恋人だぞ!!ミルー早くこっちへおいで!!」



「ミルー様はそちらへは行きませんよ。それに恋人だなんてそんな嘘をつかないでくれますか?ミルー様は俺の恋人なんですから」



「「なっ!?」」



 ジ、ジージルッッッ!!!!何と言うことを言うの!!



 ずっと好きだったジージルからの言葉だ。嬉しくないわけがない。だけど…



 心の準備というものがいるでしょう!!!



 ジージルの言葉に真っ赤になってしまう私を姉は微笑ましそうに見ている。そして、そんな私達に両親やカーバルは呆気に取られている。だけどすぐに正気を取り戻した父が怒りに震えながら怒鳴る。



「ジ、ジージル…き、貴様っあいつの息子だからと思い、引き取ってここまで育ててやったのにその恩を忘れて私達の大切な娘に手を出すとは何事だ!!!」



「そうよ!やっぱりあなた達のような出来損ない達は私達を不快にしかしない!!こんな恩を仇で返すような真似をして許されると思っているの!?」



「俺は別にあなた方に育てて欲しいと頼んだ覚えはありませんし、強引に俺を引き取ったのはあなた達ですよね?それに育てたと言ってもほとんど暴力と暴言しか吐いてこなかった人達が何を言っているんですか?」



「お前はそれをされても仕方のない存在なのだから当然であろう!!」



「たかが火属性風情が私達土属性に逆らうなど何事ですか!!」



「では試してみますか?」



「「………え?」」



 ジージルの言葉に両親が固まる。



「それだけ火属性を下に見ているんです。当然戦っても俺に勝てますよね?」



「あらそれなら私も参加したいわ。お父様達もいつも私に言っていましたもんね?たかが風属性がって。なら当然私にも勝てますわよね?」



「あ、当たり前だ!!今すぐにここで力の差というものを見せつけてやろう!!」



「目にものを見せてあげるから後悔なさい!!」



 ジージル達の安い挑発に乗った両親は真っ赤な顔で姉達を睨みつける。そんな両親に向かっていつもの表情を浮かべながら立つ姉とジージル。もうこの時点で力量の差がついているような気がする



「はぁぁ…」



 …本当に馬鹿な人達。やめておけばいいものを。まぁ仕方がないわね。お姉様もジージルも今までの鬱憤が溜まっているでしょうし。あれぐらいではスッキリしないでしょうから好きにさせてあげましょうか。



 そんな思いを抱きつつ両親がどう姉達に抗うのかを見学する。



「さぁ行くぞ!!つーー」



「ええ!つーー」



「「遅い」」



「「ぎゃぁぁあ!!!」」



「ヒィッ!!」



「………」



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