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第8話 怒りの佐助

 佐助は隠し部屋を出てから真っすぐに浜に出た。そこの隠し洞窟の奥にステルスホバーが置かれていた。それは地球代表部の大山参事の秘書の梶山が用意したものだった。佐助はあたりが暗くなってからそれに飛び乗り、姿を隠したままゼーフ人工島に渡った。


「なんとか、無事でいてくれ!」


彼は祈るような気持だった。海は静まりかえっていた。ただ波の音だけが響いていた。だがゼーフ人工島に近づくにつれ、様々な悲鳴が大きく聞こえていた。そして目に入る島は赤く燃えていた。


(まさか!)


驚いた佐助はすぐに島に上陸した。そこには驚くべき光景が広がっていた。そこには多くのウラク星人の亡骸が転がり、建物は煙を上げて燃えていた。そして遠くからかすかに悲鳴と泣き声が聞こえてきていた。


「なぜ、こんなことに・・・」


佐助は、ローク星人がこの島に来たのはウラク星人を連れ去るためのはず・・・こんなむごいことをするとは思っていなかった。彼は辺りを見渡しながらさ迷い歩いた。島は以前とは違って見る影もないほど破壊尽くされており、人の影は見当たらなかった。やがて夜が明け、日が昇って辺りが明るくなってきた。


「誰か…誰かいないのか・・・」


子供の泣き声かすかに聞こえてきた。佐助はそれを頼りにその方に向かった。すると小さな影がかすかに見えた。彼は慌ててそばに駆けよった。


「大丈夫か!」


それはうずくまった幼い少女だった。佐助の声に顔を上げた。


「リーヤ! リーヤじゃないか!」


それはニムダの娘のリーヤだった。彼女は誰もいない廃墟の前で一人きりで泣いていたのだ。佐助は顔を覆う忍び頭巾をずらしてその顔を見せた。


「僕だ。健だ。」

「健・・・健!」


リーヤは健を見て泣き止んだ。しかしその目には深い悲しみに満たされていた。


「パパは? ママはどうしたんだ?」


佐助が尋ねるとリーヤは廃墟の方を指さした。


「ニムダ! マリー!」


佐助は2人の名を大声で呼んですぐにそこに駆け寄った。だがその場を見て背筋が凍り付いて動けなかった。


「ニムダ・・・マリー・・・」


 そこには2つの亡骸があった。2人ともレーザー銃で打たれて体が焦げ付いていた。その目は恐怖で見開き、ぐっと空をにらんでいた。


「一体、どうして・・・」


佐助は茫然とした。親しかった友人が無残に殺されている姿に頭の中が真っ白になっていた。こんなことがあるわけがない・・・こんなことはあり得ない・・・彼は心の中で叫んでいた。しかもリーサは2人が殺される光景を見たのだ。それがどれほど残酷なことか・・・。

その時、急に近くに何かが動く気配を感じて、佐助ははっと我に返った。すると、


「ピーッ!」


と高い音がして光線が佐助の近くを通った。彼がとっさに振り返るとその光線はリーサの胸を貫いていた。彼女は何も言わずにそのまま静かに倒れ込んだ。


「リーサ!」


佐助が叫んですぐに駆け寄って抱き起した。だがリーサはすでに息絶えていた。


「リーサ! しっかりするんだ! リーサ! リーサ!」


佐助が必死に呼びかけるが、リーサは目を開けることはなかった。


「誰が・・・誰がこんなことを・・・」


ふと見ると少し離れて所のアームソルジャーがレーザー銃で佐助を狙っていた。そいつがレーサを撃ったのだろう。佐助は怒りがこみ上げてきた。


「こんな幼い子まで!」


佐助はレーザー刀を抜いて向かって行った。アームソルジャーからレーザー銃が撃たれ、その周囲には閃光と焦げ臭い煙が充満していた。佐助はそれをものともせずにアームソルジャーに接近すると一太刀浴びせた。そしてレーザー銃を避けて大きく飛び上がるともう1体のアームソルジャーをも斬り裂いた。


「お前たちのせいで!」


怒りで燃えた佐助はその付近にいるアームソルジャーを次々に破壊していった。

だがその戦いの情報は島にいるすべてのアームソルジャーに伝わっていた。計算された結果、一番の大いなる脅威とみなされた佐助にアームソルジャーが殺到してきた。彼の周りにレーザー光線が降り注いだ。

 だが佐助は必死に戦った。ニムダやマリーやリーサ、そして多くのウラク星人を抹殺した者を許すことはできなかった。レーザー刀を振り回し、電子手裏剣を投げつけた。


「この野郎! くたばれ!」


怒りの感情の中で佐助は暴れていた。しかし周囲から湧き出るように現れるアームソルジャーにさすがの佐助も息を切らし、体が思うように動かなくなっていた。投げつける電子手裏剣はもう残り少なくなった。

 疲れ果てた佐助はようやく崩れかけた壁に身を隠した。その向こうからはアームソルジャーの一隊がレーザーを構えてやって来ていた。そして彼の背後からも・・・。佐助は包囲されてしまった。もう逃れられない・・・。

アームソルジャーは接近してきて佐助の姿をセンサーで感知すると、レーザー銃を構えた。それらは一斉にレーザーを放って佐助を仕留めようとしていた。


「やられる・・・」


佐助は死を覚悟して、頭を抱えて身を小さくした。


「バーン!」「バーン!」「バーン!」


電子手裏剣の閃光が後方にいたアームソルジャーの胸に吸い込まれた。そして前方にいたアームソルジャーは、飛び出してきた人影によってあっという間に斬り裂かれた。その人影は佐助の前に立って声をかけた。


「佐助! 大丈夫か!」


それは半蔵だった。危機に陥った佐助を助けに来たのだった。佐助の顔が明るくなった。


「お頭!」

「ここを出るぞ! うかうかしていたらアームソルジャーの餌食になる!」


確かにまた別のアームソルジャーがこちらに駆け付けようとしていた。半蔵は懐から煙玉を取り出すと。アームソルジャーの足元をめがけて思いっきり投げつけた。


「ドカーン!」


それは爆発して閃光と大きな音を立て、辺りを煙で見えなくした。もちろんセンサーも使い物にならない。アームソルジャーはセンサーがいかれてしまったようで右往左往していた。その間に半蔵と佐助はその場を離れた。


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