第7話 虐殺
アームソルジャーたちは動き出した。まずレーザーソードでバリケードを破壊していった。辺りがけたたましい音に包まれた。しかしそれでもウラク星人たちは逃げなかった。
「来るなら来い! 俺たちはここを動かないぞ!」
「もうローク星人の言いなりにはならない!」
ウラク星人たちはアームソルジャーをこの先には通さないと頑張っていた。全員でスクラム組んでここに居座っている限り、奴らは襲ってこないと思っていた。しかしその考えは甘かった。命令を受けたアームソルジャーは冷酷だったのだ。
アームソルジャーはバリケードを壊すとそこから次々に入ってきた。そして近くにいる者から次々にレーザーソードで斬り倒していった。辺りに血しぶきが飛んだ。アームソルジャーの行動に情け容赦はなかった。
「ひえー!」「うわー!」
ウラク星人たちの叫び声が響き渡った。それを見てその場にいた多くのウラク星人たちは恐れおののいて逃げて行った。だが少なからず、踏みとどまったウラク星人もいた。彼らは自衛のためのバイオノイドをカプセルから出現させた。
「負けるものか!」
バイオノイドとともに、そのウラク星人たちも自ら剣を振るってアームソルジャーに挑んでいった。
「ここから先には行かせない!」
「ここは俺たちが守るんだ!」
彼らは必死だった。強い意志でアームソルジャーを阻止しようとした。
だがウラク星人がアームソルジャーと直接、剣を交わすことはできなかった。アームソルジャーはいきなりレーザー銃でバイオノイドとウラク星人を撃ち始めた。まぶしいばかりの閃光がきらめき、そのたびに一人、また一人と倒れていった。それは虐殺だった。あとは多くの血が流れ、焦げ臭い嫌な臭いとともにかなりの数の亡骸が残された。そこはもう地獄のような光景だった。
その光景は司令室のモニターに映し出されていた。それを見ていたプロム将軍は満足そうに手を打って笑った。
「よくやった! これでこそローク星の誇りある戦いだ! もっと奴らを痛めつけろ!」
その司令室に残った幹部たちはあまりの光景に顔をしかめる者もいたが、プロム将軍の手前、ただ何も言わずにじっとモニターを見ていた。しかし
(これは虐殺だ!ジェノサイドだ!)と心の中ではそう思っていた。彼らは自分たちが犯してしまった悲劇をひどく後悔して大きく心を震わせていた。
島の埠頭地帯を突破したアームソルジャーたちはさらに島の奥へと入って行った。そこには多くの人たちが住む集合住宅が立ち並んでいた。むろんニムダたち家族もそこにいて、息を潜ませて事態の成り行きを見守っていた。
ゼーフ人工島にローク星のアームソルジャーが侵攻して、多くのウラク星人の命を奪っているとの報告は総督府になされていた。だがドグマ副総督はそれを聞いても我関せずというように何の行動も起こさなかった。いや、総督府の誰かが何かをしようとするのを抑えようともしていた。
リカード管理官はその凶報を聞き、急いで軍用宇宙船のプロム将軍に通信を送ろうとした。それはマコウが管理するこの地球でこのような暴挙は止めていただきたいという抗議だった。だがそれもドグマ副総督によって阻止されてしまった。
管理官室でリカード管理官は窓からその方向を見ていた。
「我々は無力だ。何もしてやることができないのか・・・」
彼は唇をかみしめてそう呟いた。