四月一日、妹は最寄りの駅で
初めまして、雪音です。
ホラー小説の短編って結構、難しくて泣けるとかなら幾分か思いつくかな……結局、どれも難しい。
今回はちょっと考える作品になってます。
どうか楽しめたらいいと思います。
僕には二つ下の今年、高校生になる妹がいた。
おさげの黒髪をぶら下げて元気に笑う、陽気な女の子だった。
幼少期、父親が再婚して出来た所謂……義兄妹。
お互いに初対面こそギクシャクしていたが、次第に僕たちは家族以上の愛情が芽生えた。
『お兄ちゃん』から『兄さん』に変わってしまったときは、少しお兄ちゃんショックすぎて寝込んだ。
でも、可愛い妹のため……陰ながら応援していた。
『嫌い』『着いて来ないで』と罵倒されてもお兄ちゃんはお前の味方だよ?
そんなある日、妹と久しぶりに喧嘩をした。
喧嘩した理由は……なんだったかな、忘れた。
家から送り出したのは覚えてるんだけど、上手く思い出せない。
僕は『お兄ちゃん』だから、寛大じゃないと。
けど……その日を境に妹は真面に話してくれなくなった。
……うん、きっと怒ってると思ったから話しづらいんだな。大丈夫、僕は優しいよ……ほら。
痛くない、痛くないから。お兄ちゃんのところにおいで。
ーーーーやがて、僕と妹は仲直りをして再びあの頃みたいに戻ってきた。
『大好き』……僕も大好き。
『お兄ちゃん』……なんだい?
『お兄ちゃん、もう帰らせて!!』
ーーーーこの日、僕は優しいお兄ちゃんを辞めた。
『緊急ニュースです。四月一日午後未明、女子高校生が男に突き落とされ、そのまま電車に轢かれ即死。男は笑いながらその様子を見て、「妹を迎えに行かないと」と供述してる模様ーーーー』
エイプリルフール。年に一度、嘘が許される日。
さて、男はいくつ嘘をついていたでしょう?
夏のホラー2020、と聞いておお! と嬉しく思いました。現在連載してるのがホラーですので。
でも、意外と『駅』というのでなかなか難しかったです。