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きみにとって  作者: つんく
8/10

夜明け

 スーツケースを引きずり、俺は空港を歩いていた。



 初めての一人旅、しかも海外。不安と期待が俺をそわそわさせていた。


 一連の手続きを済ませ、出発ロビーで冊子を読む。今からここへ行くんだと自分に言い聞かせるように何度も写真を見ていた。





 飛行機の旅はあっという間だった。海外へ行くとはいえ、結局飛行機の中の雰囲気は日本だ。乗客のほとんどを日本人が占めており、海外へ向かっていることを忘れるほど違和感がなかった。



 飛行機が着陸する。傍らの窓から外を見ると、日本とは違う雰囲気を感じた。書かれている文字のせいなのか、それとも海外だという意識のせいなのか、とても不思議だった。



 (えっとー、どうしようか…)



 俺は初めての海外に戸惑いながら、とりあえずお金を換金し、まず予約したホテルへ向かい荷物を置くことにした。



 空港を出るとやたらバイクが走る道路が出迎えてくれた。



 (ああ、日本と違うな…)



 そう思いながらタクシー乗り場を見つけ、身振り手振りでホテルの場所を伝えた。



 タクシーの振動に揺られながら外を眺める。中国の建物だ!と言わんばかりのなんとも厳かな建築がある一方で、いつからそこにあるのかもわからないほどぼろぼろになった建物も見える。





 無事、俺はホテルに到着した。


 荷物、荷物を置く。その一心でロビーへ向かい、伝えると部屋ももう使っていいようだ。



 部屋の鍵を受け取ると、そこへ向かう。



 (つ、着いた…)



 疲れが一気に押し寄せる。ただ移動してきただけなのにこんなに疲れるもんなのか。



 (ちょっと横になろう…)



 俺は荷物も床へ置いたまま、ベッドに飛び込んだ。



 (ああ、ここは万国共通で包み込んでくれるな…)



 そう思いながら、俺はいつの間にか目を閉じていた。





 (ん…、あれ、どこ…)



 そう思いながら目を開けるとベッドの上にいる。

状況を思い出すのに少しのラグがあり、ここまでの道のりを思い出す。



 「あ! 寝てた…」



 外はいつの間にか薄暗い。お腹もすっかり空いていた。



 「せっかくだし、どっか行ってみるか…」



 ホテルのWiFiを拾い、周辺のことを調べてみる。近くに夜市というものがあるらしい。有名なのは知っていたため、俺は行ってみることにした。





 道を歩くとやたら黒いマスクをした人がいる。これも文化の違い…?


 街並みも違う。どこを写真に収めても味があり、そこで生きる人たちのこれまでの人生を何となく感じることかできる。



 夜市が近くなってきたようだ。入口と思われる場所には、謎のフクロウのモニュメントが置いてある。目が緑色に光っているそれは、海外らしさを俺に感じさせた。



 夜市は人で溢れていた。



 (あ、ここ冊子に載ってたな)



 店で売っているもの、冊子で見たもの、それらを見て探して、挑戦できそうなものは買って食べてみた。


 そこまで味がぶっ飛んでいるわけでもなく、日本人の口に合うおいしいものばかりだった。



 (なんか人混み疲れるな…)



 少し人酔いしたらしい。俺はホテルに戻ることにした。帰り際に日本でもお馴染みのコンビニを見つけ、入ってみる。落ち着かない…。やはり商品の絵面というのか、日本との違いが違和感となり、落ち着かない。



 適当にホテルで食べる軽食を購入し、部屋に戻った。





 シャワーを浴び、テレビを着けてみる。何を言っているのかさっぱりわからない。作業用BGMとして着けることにした。



 呆気なく1日目が終わる。明日はついに目的地へ向かう。ネットでももう一度調べ、ここからの行き方を確認する。バスで行けるようだ。昔行った場所に行くような、そんな不思議な気持ちがする。



 (明日に備えてさっさと寝るか。)



 そう思い、電気を消す。窓から空が見えた。窓枠は違う。だが、その枠の中にある空はいつも通りの姿を俺に見せてくれた。



 「明日がメインだからな…? 応援してくれよ…。」



 そんなことをいつもの景色に向かって呟き、俺は眠りにつく。





 外はだんだんと明るく、星々は薄く見えなくなっていく。


 そして、地平線から太陽が顔を出し、一面を光で溢れさせる。夜明けだ。

次の話では、ついに夢に出た場所へ向かいます。

何が待っているのか…。

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