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きみにとって  作者: つんく
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いつものように

 俺は家へ帰ってきた。自室へ戻る。昨日とは違って、なんとなく寂しい。あの人と喋ったかどうかだけでこんなにも寂しさを感じるのかと、もはや不思議にさえ思った。



 なんだか今日は疲れた。毎日会う? そんなのは不可能だろう。いつどこへ行くのか、どこに住んでいるのかわからない人と運に任せて会えるだろうか。



 やはり連絡先が欲しかった。せめて名前だけでも…。


 そんなことを思い、悔やみながら布団にこもって眠った。



 毎晩のように、あの暗闇に包まれる夢を見るようになった。暗く、重苦しい。うなされて目を覚まし、夜の住宅地を見渡し夜空を見る。いつの間にか朝になっている。そんな夜が少し続いた。



 俺は諦めきれず、毎日のようにあの人を探した。歩いていたらひょっとして会えるのではないか。心では分かってはいたのだが、どうしても探さずにはいられなかった。


 だが、何度探してもあの日以来会うことはなかった。





 あの人と出会ってから、およそ1ヶ月が経った。


 当初はあの人に会うために、住宅地やあの小高い山を何度も行き来した。


 しかし、当初持っていた淡い期待は回数を重ねるごとに薄くなっていった。今は以前と同じような生活に戻っていた。必要に応じて外出し、それ以外はほとんどの時間を自室で過ごした。



 まだ夏休みだからだろう、大学構内にいる学生の数はまばらだ。


 いつもつるんでいる友達が久しぶりに会おうということで大学まで来た。太陽の光が眩しく照りつけ、大地を容赦なく熱する。



 「お! 久しぶり! 元気してた?」



 「久しぶり、まあまあだな…。最近はだいたい家にいるよ、暑いし。」



 それから友達といつものように遊んだ。久しぶりに遊んだのだが、空いたブランクを一気に埋め立てるように、夏休み前の日常に俺を引きずり戻す。なんだか、いつも通りだ。



 「今日は久々で楽しかったわ笑。やっぱいつものメンバーで遊ぶと落ち着く! じゃ、また近々遊ぼうな。」



 「そうだな、じゃあまた今度。」



 そんなお別れの言葉を掛け合い、各々の帰路へ着く。割と遅くまで遊んでいたのだろう、辺りはすっかり暗くなっていた。


 家へ向かって歩いていくと、街灯が1つ、ぽつんと辺りを照らしている。その光を見ると、その背景には暗い夜空が見えた。


 だが、その暗闇の中には、ぽつぽつと白い光が見える。よく見るとそれぞれが強弱をつけて光っている。



 「…。なんか同じようなことしてたな…いつだったっけ。まあ、帰ろう。」



 自室に帰ると疲れを感じた。遊んだのに疲れを感じていた。だがこれも俺にとってはいつも通りだった。



 「今日も疲れたな…。」



 そんなことをぼそっと呟き、俺はベッドに倒れ込んだ。

彼女と呼んでいたあの女性のことを、俺はあの人と呼ぶようになりました。


一度会って、どうしてもまた会いたいという思いとともに、当初は運任せではありましたが探し続けていました。

しかし、時間というのは記憶を薄めてしまいますね…。

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