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第63話 堅実な現実

「思ったよりも、敵の魔法の被害が出ないね?」


「魔法を見える者が魔法を使う敵を指示して集中攻撃、先生の作戦がばっちり当たってますね」


「心配していたけど、これなら何とかなりそうだね」


「ええ、敵の魔法さえ押さえれば戦力的にも能力的にもこちらが上ですからね」


「それと一部の部下が魔法攻撃を受けた後にクラスチェンジしまして、対魔法防御に特化したクラスも手に入れたようです」


「なにそれ詳しく」


「弓兵の中にも魔法兵特攻クラスになった者が出ました」


「も、燃えるな!」


「先生好きそうですね」


「大好物だよ」


「後ほど報告は上げますね」


 たまらない報告を受けて俺のテンションはだだ上がりです。

 マジックガード、魔法攻撃に対して非常に強力な防御力を誇る。

 物理ガードは少し下がるが、その代わりマジックシールドという技で部隊全体の魔法防御を上げられる。

 マジックイーター、魔力の高いものに対して誘導的に飛ぶ矢を放つことが可能、さらに魔法自体を打ち消すまさに魔法食い攻撃が可能になった。

 戦争が終わるごとに職業というかクラスが増えて行って男の子だったらワクワクしないのが嘘だよね! って状態になっている。

 職業補正半端ないんだよこの世界……

 部隊効果を持つものや、単独行動特化職業など、それらを適正に運用することを妄想しているだけでもご飯が何倍でもいけてしまう。


 戦略シミュレーションゲームにおけるユニットの適正運用は必須。

 組み合わせとか運用方法考えているのが楽しいんだよねぇ……

 前線指揮官はそのあたりをしっかりと理解しているから俺がいろいろと言わなくてもきちっと使ってくれている。

 まぁ、俺はこーめーでもはんにばるでもないから、新職業にうきうきしながら怪我人をせっせと治療していく。訓練とかを眺めながらすげーすげー言ってる時がとても楽しい。

 

 話が随分と逸れてしまったが、今回の戦いに話をもどそう。

 魔法という優位を失った敵軍の抵抗が限界点に達するのにそれほど時間はかからなかった。

 その機を見誤るような無能な指揮官はいないので、敵が崩れ始めるとあっという間に決着がつくのだった。敗残兵による籠城も忍者部隊による侵入作戦であっさりと片がついてしまった。


「皆お疲れ様! 大きな被害も出なくてよかったよ」


 王座のまで母魔石を取り込んで、この国も攻略完了だ。

 

「とうとう魔法ですか……まったく厄介極まりないですね」


 盾役であるベイオ隊はやはり被害が大きめになっていた。

 それでも生死にかかわるような重度の熱傷にならなかったのは教育の賜物だ。

 熱気を吸い込んだ患者たちもみな深刻な状態にならずに快方に向かっている。

 獣人達は強い。軽い熱傷程度だとご飯を食べて寝ると翌日には上皮化が始まって3日もあればすっかり綺麗に治っていたりする。


「こちらは展開する魔方陣の法則などもだいたい理解しましたが、魔法が使えるか? と言われれば使えないという答えになります。魔方陣が見える。たぶん魔力の才能があるものでも今回の敵のように魔方陣を魔力で構築することは不可能です。どうやら魔族以外は使えないようですね」


「魔方陣を何かで描いてそこに魔力的なのを流すような方法は?」


 よくある魔道具的な感じだ。


「魔方陣をいろいろなもので描いたりしてみましたが、魔力を流せるものはありませんでした。

 ただ一つ、血液を用いたら魔力は流れましたが、魔力量が足りないのか魔法は起きませんでした。

 やはり我々獣人は魔法は当てにしないほうがいいですね。

 それよりは新たに表れた職業のスキルなどを伸ばしたほうが遥かに有意義と思う。というのが私の結論です」


「うん、反論は無いね。その通りだと思う。

 もちろん研究は必要だけど、俺たちはもっと違う方向に努力するべきだね……」


 魔法……使ってみたかった……


「さて、どうやら軽度な被害で攻略できたこともわかりましたし……

 次はどうしましょう?」


「えーっと、怪我だけじゃなくてみんなの心情的なストレスの把握も必要だからしばらく時間が欲しい。

 やっぱり家族と離れて戦争をするのはストレスも大きいだろうから、少ないながらもけが人も出ているから、そこまで大急ぎで次を決めなくてもいいだろ。

 なんと言っても、俺たちは勝ったんだから勝利を祝う時間ぐらいとってもいいと思う」


「そうですね、わかりました」


 勢いに乗ってしまいたい気持ちもわかるが、慎重に事を運ばないと次はどんな魔法や魔物が出るかわからない。しっかりと一つ一つの戦いを分析して、万全の態勢で新しい戦闘に向かうべきだ。


 ……と、考えて慎重に戦闘を繰り返していたら、いつの間にか世界のほとんどを攻略していたわけだった。





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