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第33話 てんやわんや

「シタラ先生お言いつけ通り住人全て人間の姿になりました」


 金髪のめちゃくちゃイケメンな騎士が俺の前に膝を立てて報告してきた。

 その隣には黒髪のすこしキツい感じのイケメンが同じように立膝で控えている。


「ベイオ、ラージン。まず二つ訂正しよう。

 一つは別に俺は人間の姿になれなんて命令もしていない。

 もう一つ、俺はお願いはするかもしれないけど命令するような立場じゃない。

 だから、その臣下みたいな態度をやめてくれ、今まで通りでいい。

 ラッテといい、なんかみんな興奮してない? 行動がおかしいよ?」


「いやー、シタラ先生、なんだかんだ言って俺たちはうれしいんですよ。

 俺たちの救いの主であるシタラ先生に近い姿になれて。

 これからはもっと先生の力になれると思うと興奮しちゃってね」


 きつい感じのイケメンがクシャって笑うのは男でもなんかクルもんがあるなぁ……

 

 そんなわけで、わが国は亜人系獣人国家に変化しました。

 そして、この変化で俺には不満がある。


「なんでみんな揃いも揃って美男美女ばっかりなんだよ……」


 いやー、ほんとにみんなカッコいいし、美人だし可愛いし。

 芸能人の集団の中に自分一人だけ放り込まれたような気分だ……

 ラッテはなんか急に距離が近くなってきたような気がするけど、あんな若い美人というか可愛い子が来ると俺は緊張してしまうんだよ……

 最近は診療中、動物の姿に戻ってもらってる患者さんとの触れ合いが俺の癒しになっている。


「しかし、何もこんな戦争準備前にそんな大きな変化を起こさなくても……」


「人間の姿というものもなかなかに動きやすいものですよ先生」


 そういいながら飛び回っているラッテはまさにニンジャだ。

 町では新しい姿が楽しいのか基本は亜人スタイルでみんな過ごしている。

 動物の姿にならないといけない時だけ動物の姿になるといった感じだ。


 オーガの国に対する準備はきちんと進めている。

 日常診療の合間には相棒であるバギーでオーガの逆侵攻に対抗する戦場づくりに燃えている。

 イケメンと美女に囲まれた会議にはまだ慣れないけど……


「先生の準備のほうはいかがですか?」


「だいたいは完成したよ、あとは仕上げていく感じ」


「前回の戦いよりこちらの戦力は増強してるし、だまし討ちだけじゃないことを見せないとな」


「ラージンの気持ちもわかるけど、俺は犠牲はできる限り減らしたいから、ちょっと卑怯な手だって使うよ。でも今回は俺の衛生兵部隊もいるから前回よりもうまく立ち回れるように頑張るよ」


「先生にはこれ以上ないほどお世話になってますから、少しは私たちが恩返ししないと」


 パーシェットさんは強キャラお約束の細めイケメン。


「先生我々をどんどんこき使ってください!!」


 ガイア君は体育会系短髪ムキムキイケメンである。


「物資も問題ないですわ。最近は本当に物資管理が大変なほど潤ってますから」


 黒に近い青と灰色の混じったようなミステリアスな美しい長髪が目を引くミーヤさん。

 人型になってそのグラマラスなボディで男性ファンをどんどん増やしている。


「砦は6~7割ってところだね、オーガたちのサイズに合わせるからかなり大きな作りで作るのに時間がかかっているね」


 プロジェクターで映し出す砦の姿はだいぶ砦っぽくはなっているが、丸太を立てて組んでいるだけの粗末な作りで、油をかけて火をつければよく燃えそうだ。


「素材ダンジョンで硝石も硫黄も獲れる我々に火計を与えてしまった神様に恨むんだな……」


 知識チート(ウィキ○ディア)で火薬も作れるようになっている。

 

「あの危ない奴使うんですか?」


「たぶんめっちゃ使う。この世界ないっぽいもんね火薬」


「あのような物見たこともないです……」


 危険なのでダンジョンでの使用は禁止している。一回試して鼓膜の危機を感じた。


「あれを作るのは気を使うので、ほどほどにお願いします先生……」


「ああ、そうだよねごめん。必要な時に必要な量使うようにするよ」


 事故が起こったら大変だからな。

 ニトログリセリンは薬として手に入るので、処理すれば爆薬に出来るんだけど。出来る限り使うものは地産地消で行きたい。


「それでは先生の準備が終わり次第、作戦開始ということで」


「おう、訓練の最終段階に入るぜ!」


「ラージンは新人つぶさないようにね」


「姐さんが本気出さなければつぶれませんよ」


「ん~なんか言ったかな~?」


「いや、それじゃぁ訓練に行ってきまさぁ!」


 逃げたな。


「そういえば先生、コボルトの国は動きはないんですか?」


「ああ、そっちは静かなものだね。おかしいくらいに……なんかあるのかな?」


「よければうちの隊から数名偵察に出しましょうか?」


「……危険は?」


「それを避けることを嫌って程教えています」


 可愛い笑顔のはずが背筋に寒いものが走るのは何でだろうか……


「わかった、絶対に無理はしないこと。頼んだ」


「わかりました」


 実は心配していない。

 ラッテが率いる部隊は隠しクラスだったはずの忍者がラッテが指導することですべての隊員が発動した。忍者はアーチャーとスカウトとレンジャーとライトセイバーと機工師が合わさったようなエキストラクラスと言っていい強力なクラスだ。

 忍者オリジナルのスキルも多数存在しており、上忍ともなると闇に紛れて一人で一個小隊くらいの戦力になる。

 隠密行動に特化すれば低級な魔物なら気配さえ感じさせないだろう。

 味方ながら恐ろしい部隊になったものだ。

 もちろん、それを統べるラッテさんの能力は……計り知れない。


 戦いの準備が本格的に動き始めるのだった。 



明日も18時に投稿いたします。

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