第27話 食糧生産チート
今日は日曜なので10時と18時に投稿します。
「肉が食べたい!!」
「肉、ですか……?」
「ここの食事、野菜が中心でしょ?
みんな肉は好きじゃないの?」
「嫌いなわけじゃないですけど、やはり得る手段がないですから……」
「……ダンジョン設定いじろうかな……」
「なんですかそれ?」
昨日説明書で見つけた単語なのだが、それ以上がわからなかった。
「ちょっとまって、ガウスんとこ行こう」
こういうゲーム的な説明はガウスと話していると早い、マニュアルは膨大すぎて読む気が失せる。
「ああ、可能ですね。フィールドを設定したり、ただポイントを消費しますね」
「どこでやるの? そういう設定あるのは見つけたんだけどやり方が……」
「はい、まずこちらのダンジョンメイカーをポイントで落とさないとだめですね」
「ああ、また手に入れないと説明が出ないパターンか!! それにしたって、それを手に入れることを書いて無ければわからないじゃん……」
「もうしわけございません」
「ああ、ガウスに怒ったわけじゃないんだよ。ゲームに文句言うときは期待の裏返しだから気にしないで」
ポイント的にも7万近くストックしてあるポイント、ダンジョンメイカーは1万ポイント。
これはポチるしかない。
「パソコン上に新しくアプリが増えていると思いますので、そこにストックのダンジョンを持っていくと、そうです。これでこのように、ただ、それぞれポイントを使用しますので最終決定前に必ず確認してください。細かな積み重ねですごいことになったりしますから」
「ほうほうほう、これはこれは……やべぇ、面白い」
作成するダンジョンをフィールド、敵の種類、時間経過、宝箱量、広さなど様々なことをカスタムできる。
「ああ、なるほど。やっぱりおいしいダンジョンは青天井でポイントが必要なんだね……」
「特に今あるダンジョンのような別次元を形成するダンジョンをポイントで作るのはお勧めしません。
フィールド型ダンジョンで作るのが基本です」
「あの最初のダンジョンは全部ランダムであんなにいいダンジョンになったんだね」
「時間遅延は……ポイント見てみます?」
「……うっわ……100万で二倍……10倍って……うっわうっわ国家予算かよ……」
「設楽様はよほど幸運の女神に愛されているのですね」
ガウスがラッテに笑いかける。
「フィールド型で、食材をドロップする魔物系で……魔石発生を最低に落とせばもしかしてー、あ、やっぱポイント減った。ってことは宝箱頻度も落とせば、よしよし! おおお、いいね、鳥に豚に牛に羊に……ああ、そうかトレント系モンスターは果実とか、おお、植物系モンスターいろいろいるなぁ……」
「ラッテ様、設楽様はこうなると長いのでお茶でもいかがですか?」
「あ、そうしたら私がいれるので見てもらってもいいですか?」
「もちろんです。設楽様も喜びますよ。それでは私はお茶請けを用意しましょう」
結局ガウスの言う通り、俺は午後の診療時間も忘れて没頭してしまっていた。
ラッテを中心につつがなく診療は回してくれたそうで、頼りがいがある。
「よっしゃ! できたぞ! 食材調達だけを目的としたフィールド型ダンジョン!!」
敵は食用に出来そうな種類の動物種、同じく食糧に出来そうな水生生物と植物種、フィールドは密林(湖沼有り)単層型ダンジョン、宝箱はほとんどなし。
ポイントを下げられる要素は限界まで下げた。
結果として広大な設置する敷地を必要とする普通に考えればポンコツなダンジョンになっている。
入口が決まっていて他からは入れないので下手に作ると膨大な侵入不可エリアを作ってしまう。
そのくせダンジョンからの敵は好きなところから出入りしてしまい、それこそ自分たちの首を絞めることになる。
周囲全てを堀を作って覆うにしたって、ちょっと労力がかかりすぎる。
堀だって注意して渡れば渡れてしまうだろうし……
「俺の考えが正しければその問題はヘーキヘーキ」
俺はバギーを設置位置に走らせる。
最初の村からしばらく南に進むと存在する。過酷な山岳地帯。
とてもじゃないが生活もできない天然の壁。
「でも、たぶんこの世界の作り的に……よし! 思った通りだ」
マップ上に広大な範囲をダンジョンが占めているが、ちゃんと設置可能表記になっている。
山岳地帯をダンジョンに置き換えてしまうのだ。
「こうすればダンジョンから敵があふれる可能性もこっちだけに絞れるし、利用価値のないエリアに価値を生み出せて一石二鳥!」
母魔石は、環境中に存在するこの世界の構成因子であるマナを取り込んでいろいろ作っているらしい。
ダンジョン内で戦いなどが起こるとマナが活性化して周囲に増える。
ダンジョンとしてそれらを利用してまた魔物を作ったり宝を作ったりする。
そうすることで母魔石は活性化していく。
活発なダンジョンだと成長したりすることもあるそうだ。
ダンジョンメイカーを解放したら、そんな超重要な設定も知ることが出来た。
「村から少し距離があるから、問題はそれだけだな」
「ゴブリンから保護した狼さんたちが仕事が増えますね」
「彼らの餌のためにも頑張ってもらおう」
狼たちはすっかり村の仲間になっている。
騎乗して戦うのはサイズ的に難しいが、馬車のように荷車を引いてもらったりと優秀な労働力になっている。
「複数の狼で引かせる大型の車も作ってもらうか」
「楽しみですね」
「ああ、恵まれた食生活への第一歩だ!!」
こうしてうちの国にまた一つチートダンジョンが増えた。
ここから産出される食料品はうちの国を長い間支え続けることになる。
次は18時に投稿します。