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第18話 夕日

今日は日曜なので18時19時20時に投稿いたします(2/3)

 朝5時。目を覚ましパソコンを開く。

 すぐに神の目による盗撮の開始だ。

 まずはオーガとコボルトの戦争から、まだ早朝なので両軍動いていないが休戦している様子はない。

 ここは、またあとで見に来るとしよう。

 そして本命のゴブリン国。


「動いた!!」


 早朝にもかかわらず、ゴブリン達があわただしく動き回っている。

 どうやら餌に気が付いて食いついてくれたようだ。

 これで、第一段階は成功と言っていいだろう。

 昼過ぎには町を出てうちの国へと出発するだろう。

 夕方前に国境手前で陣を張るのかな?

 マップを見ながら予想を立てる。


「さて、とうとう国の存続をかけた大一番だ」


 否が応でも気合が入る。

 すぐに各リーダーを呼びに行く、と思って外に出たらラッテが来たのでお願いした。

 

「まずは戦闘地域の地形と罠の位置を完全に頭に入れてほしい。

 それから戦闘の流れだ。俺とラッテ隊が敵を挑発して戦闘を開始、少しづつ引きながら防壁を利用した防戦に入ると見せかける。

 敵が突撃してくれればベイオ、ラージン、パーシェット各隊が包囲して、殲滅。

 口で言うと簡単だけど、かなり厳しい戦いになる」


「数の上では圧倒的差があります。装備は同等にはなってると思いますが」


「あとは俺が用意する秘密兵器の数々次第」


 そう、こっちの有利な点は俺が日本からいろいろと持ち込めること!

 今回は、貯金をはたいて準備した。

 特殊工作部隊は非戦闘員もかき集めて準備した。


「やれることはやった。さぁ、出陣しよう!」


 村に非常事態を伝えるサイレンが響く。

 

『えー。設楽です。

 今日、以前より話していたゴブリン国に動きがありました。

 急ではありますが、明日には戦端が開いてしまうと思います。

 今まで準備を重ねてきましたが、とうとう実行に移す日が来ました。

 皆の奮闘を期待する!』


 マイクを通した俺の声が村に響く。

 この設備も病院の屋上に設置しておいた。


 すでにいつでも出発の準備がされているわが軍はすぐに行軍準備に入る。

 アイテムボックスがあるので基材の運搬など全て必要がない。

 つまり、かなりの機動性が稼げる。


「全員バギーとかはさすがにお金がない……自転車でも全員分は無理だからなぁ……」


「設楽先生、私たちは獣人。野をかける速度には自信がある」


 いつもの二足歩行から全速力の四足歩行。

 確かに俺ではついていくこともできない、俺はバギーで移動している。

 この機動性のおかげで敵よりもはるかに戦場に先に到着して十分な準備時間が稼げる。

 細かくパソコンで敵軍の状態を把握しながら装備機材を配って回る。

 

「敵はやっと行軍開始だね。ぞろぞろとすごい数だなぁやっぱり……」


「しかし、これだけ正確に相手の位置がわかるだけでも素晴らしい優位ですね」


「ベイオの言う通り、森とかを行軍するなら奇襲かけ放題だぜ」


「このあたりは草原地帯だからね、その分距離などが正確に把握できるから弓隊としてはありがたい」


 みんな大きな戦いの前だというのに非常にリラックスしている。

 事前の打ち合わせもとんとん拍子で終了してしまう。


「それでは、開戦は予定通り。しっかりみんな休んでおくように」


 皆には休んでおくように言ったけど、どうにも緊張して眠れない。

 陣ではテントを張ってみなそれぞれ休んだり談笑したりしている。

 ラッテに最終確認をしてもらいながら自分でも各部署を確認しに行く。


 防壁を見上げてみると人影が動いている。なんとなく俺も防壁の上に登ってみたくなったので梯子を使い防壁の上に出る。一応平らにはしてあるけど、気をつけないと落ちそうな作りの甘さに思わず苦笑いする。


「あれ? 設楽先生じゃないですか?」


 防壁の上の人影はベイオとラージンだった。


「二人とも戦場の視察かな?」


「そうですね、それと、お互いに村に残した子供たちの幸運を祈っていました」


「俺たちが踏ん張らねーと、子供たちの未来はないですからね」


 ぐっと来た。みんな緊張していないわけじゃない。覚悟を決めてあったんだ。

 沈みゆく夕日に映る二人の顔は父親として、隊長として命を受け持った男の顔をしていた。

 俺も、どうにもゲーム感覚の抜けない頭に活を入れる。

 バシバシとほほを叩いて気合を入れる!


「大丈夫。勝てるよ」


「勝ちましょう」


「勝つぞ!」


 三人で熱い握手を交わした。


「おっと、お客さんが来たようだぜ」


 地平線に動きが見える。すぐにパソコンを取り出して確認する。

 間違いない敵の隊列だ。

 段々と増えていく人の列、高い場所から見るとその数がよくわかる。


「なかなか美しい景色ですな先生! 草原に夕日が当たりそこに軍勢が広がっていく姿は!」


「そうだな! あの大軍に今から一泡吹かせると思うと興奮するな!」


「なんだ、先生結構お盛んじゃないですか!」


「おいラージンなんて言い方だ!」


「ははは、いいよいいよ、楽しんでるぐらいじゃないと震えちゃいそうだからな!」


「危険とは思いますが、先陣、よろしくお願いします!」


「さっさと仕事を済ませて、楽させてもらうよ」


 もう一度しっかりと握手を交わして壁を後にする。

 

 絶対に勝つ。強い覚悟が俺の中に宿った。

 



次は20時に投稿します。

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