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第17話 土木作業

今日は日曜なので18時19時20時に投稿します(1/3)

 俺とラッテはバギーを走らせている。敵地のそば、最終戦闘と想定されている地だ。

 少し進めばコブリンの国の集落が見えてくる。

 もしかしたら砂煙を上げて爆走している俺たちを敵が発見するかもしれない。

 すでにラッテは器用にバギーを操る。完全に俺の右腕としての地位を確立している。

 二人で地図を確認しながら塹壕をはじめとする罠を作り上げていく。


「あのゴーゼムという将軍は看破してくるだろうね」


「そうですね、罠とわかったうえではまる罠を作るしかないですよね」


「サラっとすごいことを言うね」


「そのために私たちがいますから!」


 なんとも頼もしい存在になったもんだ。


 クラスが導入されて個々の戦闘力は強化された。素質の問題でその強化には幅はあるが、それでもそれぞれ自分に合ったクラスを見つけることでさらに自分の素質を磨いていける。

 中にはラッテみたいな天才型もいる。

 子供はどんどん増えているし、子も成長している。

 国力は確実に伸びているのだけど、それでもこの世界における獣人たちの存在は吹けば飛ぶような存在だ。

 食糧は農業と畜産で一部賄っているがまだまだ十分とは言えない。

 ダンジョンのおかげで武器や防具が産出されるのは大変助かっている。というかこれが無ければ完全な詰みだ。

 ダンジョン攻略も進んでいる。初級ダンジョンは50階層らしい。あと半分といったところだ。

 ダンジョン攻略が終わればそのポイントで今度は中級ダンジョンを作れる。

 まずはダンジョンをそろえることからこの世界での国盗りの野望は始まる。

 チートダンジョンから始まる国盗り合戦って名前を付けていいかもしれない。

 

「そろそろポイントで新種族を復活できるんだよなぁ……」


「ダンジョンのために貯めるのではないのですか?」


「今までのポイントから考えると完全制覇のポイントだけで中級は行ける気がするんだよねぇ」


「先生、その考えは危険です。大丈夫だと思って無理だったでは我らは滅亡してしまいます。

 やるべきことをきちんとやったうえでポイントが届かなかったのならいいですが、寄り道したら足りませんでしたというのは後で後悔します」


 ぐうの音も出ないほど完全に論破された。ここまで完璧だと気持ちがいい。


「ありがとうラッテ。君の言葉はいつも正しくて俺をしっかりと叱ってくれる。

 感謝しているよ」


「そんな……私はただ……」


 ラッテの白いモフモフとした毛から見える目の周りが赤くなっている。

 照れている。こういう微妙な変化もよくわかるようになってきた。

 きちっと臨床に生かさないと。


「先生今すっごく関係ない仕事の事考えてますよね?」


「え、ああよく分かったね。目の周りの発赤と血行動態はしっかり見なきゃなーって」


「ああ、本当に先生って朴念仁ですよね」


「戦地でも仕事を忘れないことをほめてくれているのかい? ありがとう」


「……はぁ~~~~~~~」


 なんだろ、ものすごく残念なものを見るような目で見られた気がする。


 俺による大規模土木工事は突貫で進んでいく。

 はりぼてでもこの際は問題のない砦に防壁。一夜城みたいなものだ。

 大量の土を収納し、大量に積み上げる。

 これだけで国境付近に巨大な堀と壁を形成していく。

 これはある意味示威行為なので目だっても問題ない。これで敵の侵攻をもしも呼べればそのまま先頭に突入する。

 敵が罠を心配して攻めてこないなら、国境沿いに強固な壁を作成できる。

 どっちでもいいのだ。


 門は作れないけど通れるところは作っておく、そこから戦場を形成する。

 もちろん防壁での防備もしっかりとして少しでも数を減らしたりできたらいいなぁ…将来的にはね。

 ずらりと防壁の上に並んだ弓兵が一斉に射掛ける。空を覆いつくさんばかりの矢の雨、敵の自慢の騎馬隊は巨大な堀と壁に阻まれ立ち往生、そこに雨が降り注ぐ……

 絶対無敵と呼ばれた最強の騎馬軍団を打ち倒す……ああ……燃える……


「先生!! さっきから呼んでるんですけど! 予定よりもだいぶ広く堀を作っていますよ!」


「ああ、ごめん、考え事してた。えーっと、あ、ほんとだ。

 まぁここまで作ったら完成させてしまおう」


 穴掘ってその土吐き出すだけだし。

 回り込む気が無くなる程度の幅の巨大な堀と土壁を完成させるのに大した時間がかからないとか、個人的にはこれが最大のチートなんじゃなかろうかと思っている。


「この規模の土木建築なんて年単位の事業だろうなぁ……」


「自分たちの手でやるとしたら想像もつきませんね……」


「その脅威にビビってゴブリン達が降参してくれるのが一番うれしいんだけど」


「魔物にそのような理性的な判断ができるとは思えません」


「確かに……ん? でも、あの将軍ゴーゼムは随分と理性的に見えたよ?」


「……確かにやり取りをうかがうとそうですね……魔物も長く生きたりレベルが上がると進化をするのですかね?」


「そうだったら手ごわいね……」


 文明を持ったり、武装をしたりしているんだからその可能性は十二分に頭に入れておかないといけない。

 というか、なぜそもそもこの世界はこんなにも細かく魔族によって分割統治されているんだ?

 魔王的な何かがいて、獣人VS巨大魔王軍。はい詰んだ。ってなってないのはうれしいんだけども……


 この答えは仕事を終えて一日の最後のパソコン確認で判明する。

 神様がまた追記していた。


『魔族に忠誠心があるほうが珍しいので、基本的には独立志向で設定されており、自分の力で恐怖政治が完成する規模ぐらいに細かく細分化されているんだよー』


 とのことだった。なるほど、そういうことにしておこう。

 さて、こちらの動きで敵がどう動くのか、心配でもあるけど、ワクワクもしながら眠りについた。



 

 


 

次は19時に投稿します。

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