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第13話 夜のプレイ

 一日の業務が終了する。

 今日も大きな事故もなく、ダンジョン探索も順調なようだ。

 朝と夜の周囲国家に対する神の目スパイ活動を行う。

 

「狼部隊、そろそろ再編が近いな。オーガの国も物資を城に集めている。コボルトの国は募兵に余念がないなぁ……一気に来ないよね? これ、こっちから行かないとどーにもできなくならんかね?」


 頭が痛い。

 そんなフラストレーションを吹き飛ばすお楽しみの時間だ。

 ダンジョン探索。

 そう、俺は仕事が終わったらアフターファイブ(古い)でダンジョンを楽しんでいる。

 あれから村人たちだけによるダンジョン探索や、ダンジョン入り口周囲の作業場の設定など、あくまでもみんなが主体になっていろいろと執り行われている。

 俺がしているのは報告を聞いて改善点を指摘したり、収穫物を管理したりしているだけだ。

 さすがに通販は俺しかできないから、収穫物から一定の金額を通販に当てて一部商品を皆の生活に提供している。

 この生活も早いとこ脱却できるといいけど、まだまだ先になりそうだ……

 

「あっ! 先生今日もお疲れさまでした!」


 ダンジョン入り口には建物が作られた。

 将来的には冒険者ギルド的な位置づけになるだろう。

 今のところはダンジョンへ入った人数や時間の管理を行えるようになっている。

 ここにはうちの看護師も出向していて簡単な手当のできる道具もそろえてある。


「いつも終業寸前に悪いね」


 そう、ダンジョンへの入場は時間制にした。

 朝の8時から夜8時まで。

 これには理由がある。

 外で夜にちゃんと睡眠をとらないと、時差ボケみたいな症状になってしまうことがわかってきた。

 やはりダンジョン内での時間の流れの変化は、体調に影響を与えてしまうようだ。

 3日以上連続で入ると謎の体調不良になる。内部で睡眠や食事をしっかりと取っていてもだ。

 いろいろと調べてみたけど原因はわからなかった。疲労としか言いようがない。

 一晩ぐっすり寝るときれいさっぱりと回復するあたりも病気とは違うのかもしれない。


 個人的には、よくあるソーシャルゲームのスタミナ制が隠しパラメーターであるんじゃないかと睨んでいる。


「それじゃぁ行ってきます!」


 ソロでダンジョンに入っていいのは各パーティのリーダー5人と俺だけとしている。

 そして、夜の俺の攻略はその5人を合わせた6人、通称探索班で行っている。

 文字通りダンジョン深部の探索を仕事としている。


「今日で10階に到達できそうだね」


 9階のマップもほぼ完成している。

 敵の強さは5階を超えると目に見えて変化している。

 10階も何らかの変化が起こるために万全の準備を整えている。

 すでに武器防具は内部で手に入れたもののほうが戦いに専門で作られたもので良い物が多くなっている。

 俺は鉄の兜に鎖帷子くさりかたびらと皮の鎧、鉄製の小手と靴、鋼の両手剣。

 すっかり戦士っぽい装備になっている。

 この世界の装備はおもしろい特徴があって、着ると、というか装備するとサイズが変化する。

 なので体にとてもなじんで使いやすい。

 一度着るとサイズが固定してしまうので、同じ体系なら使いまわしできるが、基本的には自分専用の装備が必要になる。

 これはダンジョン産の装備だけだ。

 自分の手で作るときは自分のサイズに合わせて作らないといけない。

 ダンジョンの不思議の一つだ。

 各パーティのリーダーも装備を整えている。

 俺と同じ両手剣や槍、斧、片手剣と盾、鉄の棒のような棍を愛用する者もいる。


「さて、気をつけていこう!」


「はい!」


 みんなのそろったいい返事だ。

 本当にみんな強くなった。

 俺も日々のこの運動のおかげで体脂肪が一桁にまで落ちてしまい、なんだか固い体になってしまった。

 今の俺なら動物の減量の話の時に、


「この子の減量よりも先生のほうが先じゃないのー」


 などといじられることもないだろう。 


 9階までは階段までの最短ルートを通り、9階は残された未踏破部分を探索したらいよいよ10階へと足を踏み入れる。

 敵の装備も鉄製の武器を使ってくるために一瞬たりとも気は抜けない。

 今のところは幸せなことに軽い切り傷程度で大きなけが人は出ていない。

 慎重に慎重を重ねて探索をさせている成果と言える。


「さて、いよいよ10階だ。みんな準備は大丈夫か?」


 階段を降りると、まっすぐな廊下が続いている。

 作りが今までの改装と異なる感じがする。そのまま直進していくと立派な扉がある。


「うーん。ボスっぽいかもなぁ。

 みんな、もしかしたら強力な敵が現れるかもしれないいつも同じことを言うけど十二分に気をつけてくれ」


 扉に手をかけ力を入れる。厚みのある木製の扉がギシギシとつがいの悲鳴を上げながら開いていく。

 扉の先は少し広い広場になっている。

 今までの洞窟内よりも周囲に火がたかれていて明るい。

 まさに、()()()()()広場だ。


 部屋の中心に向かって風が流れ始める。渦を巻くように風が巻き起こり白煙が渦をなして舞い上がる。


「うおっ! なんだこれ」


 体を持っていかれるほどの暴風ではないが、ダンジョン内では経験したことがない突風だ。


 ごうっ! っと風と煙が四散する。


「おお、ボス登場演出というやつか……って……やりにくいなぁ……」


 その演出が終えて現れたのは、3メートルはありそうな巨大な可愛らしいウサギ、魔石付きだった。



明日も18時に投稿いたします

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