表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

フジロックに行ってきました。初めての夏フェスです。

作者: 安孫子太郎

人生で始めて夏フェスに行った。


自分が行ったのはフジロックといって新潟県湯沢町の苗場スキー場で開催されているイベントである。


フェスとは音楽の祭典である。

複数のアーティストがだだっ広いステージで演奏して、

我々は直射日光を浴びながら砂と汗にまみれて苦しみながら演奏を聴く集まりだ。


なんだか辛そうなイメージをもたれるかもしれないが、事実つらい。


どこまで歩いても人の海だし、歩く距離も結構ある。


ステージが複数箇所に設置されているのだが、一つ一つが離れている。


山の中をウロウロ歩くこと自体は気持ちのいいモノであるはずだが、自分はそれよりもしんどさが上回った。


一番の原因は寝不足であった。

前日、夜遅くまで外に出掛けていた。そしてフェスに行くために早朝四時位に起床し、五時前には出発した。


実質しょうみ三時間ほどしか睡眠を取っていないがためにフラフラに。

そこに直射日光と砂埃の不快感、人の海。これにやられた。


何も考えることができなくなり、気分は最底辺へ。


一緒に出かけた相方とは大喧嘩になり、険悪ムード。


三時間ほど会話無し。要所々々別行動。


なんだこれは。せっかくの楽しいイベントであるはずなのに。

いや、仕方ないんです。自分から行きたがったイベントじゃなかったので。

無理に楽しめと言われるほうが難しいですよ、はい。


それでも目的であった、レッドホットチリペッパーズを観るために夜の二一時まで粘る。


陽も落ちてきて、涼しくなってくる。

また、雨も降り始めたりでどんどん気候は下がる。涼しいどころじゃなくて、むしろ寒い。


車に防寒具を置きっぱなしで来たために、相方が取りに行ってくれる。


その間、雨を避けるために樹の下に逃げ込み待機する。


寒さをしのぐために、持っていたナイロン地のインナーを身にまとう。

幾分か寒さが和らぐ。

椅子の上で身を縮こませ、ひたすらに耐えていく。


相方が戻ってくる。

防寒性の高いパーカーを羽織り、生を繋ぐ。


ようやく二一時を迎え、レッドホットチリペッパーズを聴きに最前線のほうへと繰り出す。


メンバーの登場を眺めてようやく今日は夏フェスに来たぞ!!と少しばかりテンションが戻る。


演奏は素晴らしく、元気が出てくる。


二二時一五分くらいにライブが終わる。


そのまま帰るかどうか悩んだが、せっかく元気が戻ってきたので別のライブを観に行く。

楽しい。純粋に楽しめる。

いつもそうだけれども、自分は終わりの直前くらいに急にテンションが上がる。


観たいライブを全て終えてから帰宅準備にとりかかる。

ここからが地獄。


車を停めた駐車場に行くためには送迎バスに乗らなければならない。

片道六キロはあるのでこれから歩くのは辛すぎる。

バスを待つこと一時間一五分ほど。ようやく乗車出来る。

あり得ないほどの長蛇の列となっていたために、それほどの時間を要した。


駐車場に辿り着き、車に乗り込んだ時には限界が近い。疲労の。


砂まみれかつ冷えきった身体を癒すために温泉へと向かう。


車で一〇分ほど進んだところに、二四時間営業の温泉を見つける。

見つけるといっても、相方が事前に調べてくれていた。


夏フェスの期間のみ限定で、この温泉は二四時間営業になっているそうだ。


中に入ってみると、フェス帰りの若者であふれ返っている。

時間は深夜二時ゴロ。こんな時間に同じ境遇の人々が、同じ温泉に漬かっていることになんだか妙な感動を覚える。気持ちがいい。


温泉は最高だった。とにかく身体が癒やされた。

もうこのまま温泉に浸りつつ眠りつきたいと思った。


誰一人会話を交わすものはいないが、妙な一体感がある。良い。


温泉からあがり、周囲の若者を観察しつつ飲料水を購入。


こういう時はやはり水だ。

水分は水に限る。


お茶類はだめだ。利尿作用が働き、またしても喉が乾く。

また、カフェインが入っているので快眠にたどりつけない。


相方も上がってきて、自販機でアイスを共に買う。


ペパーミント味のチョコアイス。

ミントが昔から好きだ。歯磨き粉みたいと散々、周囲の人々に言われてきたがやはり一番美味しい。

まあ、アイスはそんなに好きじゃないのだが、たまに食べる分には美味しい。


自販機のそばに立っていた時に、正面から歩いてきた若い女性と視線が合う。

相手がいつまでも視線を逸らさなかったので、つい自分もそのまま視線を相手に向ける。


女性はスピードを緩めること無く、そのままに通り過ぎて行った。

少し振り向いて相手を見てみると、相手もこちらを振り向いて見ている。


どこかで会ったのだろうか。分からない。そもそも女性の知り合いなんてゼロに等しいのそんなことはない。


休憩スペースの椅子に座りアイスを開けているとまたしても、その女性がチラリとこちらに視線を向けつつ横を通過していった。


もしも自分がスケコマシな男であればこの時点で何らかの接触手段を取って話し掛けたのだろうか。

いや、そもそも相方と来ている時点でその発想には至れない。


ましてや、その女性自身もこんな夜もすっかりとふけこんだ時間帯にひとりでいるはずがない。

男と来ていることは間違いないであろう。

ならば、そのような運命的な出会いであるかのような視線を送ってくることはやめてもらいたい。


温泉を後にしたのちは、近場のインターより高速道路に入った。


途中のサービスエリアに車を停めて、初の車中泊を結構。

コンビニで買ってきた歯ブラシを片手にサービスエリアのトイレへと歩く。


とうとう今日も終わりだな。そんな気持ちが強くなる。


車に戻ると、シートを倒して寝に入る。

寝やすい姿勢を何度も吟味して身体をよじって調整する。


まあまあの寝やすい塩梅を見つけ、ようやくおさまる。


なんだろうな。これが夏フェスなのか。


楽しいのかな。楽しくないのかな。よく分からない。


だけれども、それなりに記憶に残ったし、これが想い出という言葉に繋がるのだろう。


良くも悪くもない人生の一コマになった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ