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私、令嬢辞めて庶民はじめます!  作者: 蒼月
婚約者問題編
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噂の侯爵令嬢

私は今ジークと一緒に舞踏会場の中にいる。


最初ジークと一緒に入場した時は噂の令嬢とでは無かった事で回りが騒然としたが、ジークが必要以上に私にベタベタしてきた事であの噂は間違いだったと思われるようになったようだ。

ちなみに前のお家騒動時の舞踏会に参加していたであろう貴族達が、私に気付き顔を青ざめている事に気付いていた。


・・・いやいやもうあんな大事起こらないから!私がいるから何か起こるのではと恐れなくても良いから!!


私はそう思い、顔を青ざめている貴族達にニコリと笑顔を向けたのだがどうしてかさらに青くなって遠くに去っていってしまったのだった。

何故か恐怖の対象になっている事にショックを受けながら、さらにベタベタ触ってくるジークの腕を八つ当たりも込めて隠れてつねり、これ以上するなと言う視線をジークに送りながら微笑んで見せる。ジークは一瞬だけ痛みで顔をしかめたがすぐ元に戻し微笑みながら私の耳元に顔を寄せてきた。


「・・・サラ、後で覚えておけよ」

「・・・っ!ジ、ジークが悪いんだから!」


耳元で低く甘く囁かれ私は耳を押さえながら真っ赤になってジークを睨み付ける。しかしジークはそんな私を悪戯っ子の笑みで見てくるのだった。



暫くジークと一緒に会場内を歩き回り、私達の仲を見せ付けていると年配の男性が近付いて来る。


「侯爵・・・」


そうジークが険しい表情でポツリと呟いたのでその男性が例の侯爵だと悟った。私は気を引き締め男性が来るのをジークの隣で待つ事にする。


「これはこれはジークフリード殿下、この国主催の舞踏会も大変素晴らしい物ですね」

「・・・お褒め頂き光栄です」

「しかし、殿下が見知らぬ女性と一緒に居られるというのは如何なものかと・・・」


自分が企画した舞踏会なのに素知らぬ顔でジークを褒め、そして侯爵は私を上から下までじっと見てきた。


「・・・確かに見目はとても美しい女性ですね。殿下失礼ですがこちらの女性は?」

「この方はサラと言い俺の恋人。まだ正式に発表してないが俺の婚約者になる人だ」

「・・・サラと申します。どうぞよろしくお願い致します」


私はそう言うとスカートの裾を軽く摘まみ上げ完璧な貴族の礼をする。


「・・・礼儀作法はしっかり出来てるようだが・・・家名も無い女性が婚約者?」

「この方の事は父上も了承済みだ。なんだったら父上に確認されると良い」

「・・・くっ!そんな事知らないぞ!・・・・・ゴホン。だがまだ正式に発表されて無いようですし私の娘にもまだ機会はあるはずですね」


侯爵はジークの言葉に少し動揺を見せていたが、一度咳払いをし気を取り直してこちらに笑顔を向けてきた。しかしその目は全く笑っていない。そして後ろを振り返り誰かを探す仕草をして目的の人物を見付けるとその人物に声を掛ける。


「何をしている!早くこちらに来ないかクラリス!」

「・・・あ、はい。ごめんなさいお父様!」


・・・クラリス?それにこの声・・・。


侯爵の隣に慌てた様子で立った一人の小柄な令嬢。私はその人物を見て驚きに目を見張る。


「・・・クラリス?」

「え?・・・まさかサラお姉様!?」


私の呟きに最初私が誰か分からず不思議な顔をしていたクラリスは、すぐに気付き驚きの声を上げて私を見上げてきた。

私達はお互い認識し合うとそのまま驚愕の表情で固まってしまう。


「・・・サラ?侯爵のご令嬢のクラリス嬢とは知り合いなのか?」

「侯爵の・・・ご令嬢?」

「ああ、クラリス嬢はこのファメルバ侯爵のご令嬢だよ。知り合いのようだけど知らなかったのかい?」

「ファメルバ侯爵!?」


・・・知らないもなにも侯爵の名前今初めて聞いたからーーー!!!


私が動揺しているとファメルバ侯爵は怪訝な表情で私を見ながら隣に立てるクラリスを見る。


「クラリス、お前はこのサラ嬢とお知り合いだったのか?」

「・・・はい」

「一体どこで知り合ったのだ!?」

「そ、それは・・・」

「殿下の恋人と知り合いなど私は何も聞いてないぞ!」

「え?サラお姉様がジークフリード様の恋人!?」


クラリスはファメルバ侯爵の激しい問い詰めに俯いて言葉を詰まらせていたが、私がジークの恋人だと聞くと驚いた表情で顔を上げて私を見てきた。


「サラお姉様本当ですの!?」

「ええまあ・・・うん」


ハッキリと聞かれ私は照れながら返事を返す。するとクラリスは表情を険しくし睨んできた。


・・・もしかしてクラリス私がジークの恋人だと聞いて嫉妬を!?・・・あれ?でもなんか睨んでいる先が私の方では無いような・・・?


その睨んでいる視線を追って見ると何故かジークに辿り着く。


え?何でジーク?普通こう言う場合は私では???


ジークはクラリスの視線を受け無言でクラリスを見返す。しかしその目はどこか冷たい。


・・・なんだか二人の間に火花が見えるような気がするのは気のせいだろうか?


「国王陛下!」


私がこの状況に困惑していると、突然ファメルバ侯爵が別の方向を見て声を上げた。


「ジークフリード殿下、とりあえず陛下に婚約者の件確認して参ります・・・クラリス付いて来なさい!」

「え?でもお父様、わたくしサラお姉様とここで・・・」

「何を訳の分からない事を言っている。良いから来なさい!」


そう言ってファメルバ侯爵は不満げな表情のクラリスを連れて国王様の下に向かっていったのだ。


「一体何だったんだろう?」

「・・・・」


去っていくクラリスを見ながらそう呟いていたのだが、ふとジークを見るとクラリスの方をじっと険しい表情で見ていた。

そしてその後何故か機嫌の悪くなったジークにクラリスとの事を聞かれ、王都で出会った経緯を全部説明すると益々機嫌の悪くなったジークに今後クラリスと二人で会わないよう念を押されたのだった。ちなみにその時ちゃんと街の警備強化は頼んでおいた。

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