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捜索開始

────人々が寝静まった深夜。



私は柱の影に隠れ、二人の警備兵で警護されている執務室を伺い見る。


やっぱりこんな時間まで警護してるなんて、あそこに何か大事な物が有ると言っている様なものね。


そう思いながら執務室を護る警備兵を見て、手に持っていた小さな袋の中身を取り出す。

中から出てきたのは白い粉。実はこれは土と水と光の魔法で生み出したある植物を火の魔法で乾燥させて粉末状にしたもの。

私は魔法の組み合わせで色々錬金する事が出来るのだが、なるべくこの錬金の力を使わない様にしている。何でも作れる力に頼ると物のありがたみが薄れ、働く努力をしなくなる自分が嫌だったし、他の人に力が知れて色々面倒な事になりそうだったから。


私は掌の上に乗る粉に息を吹き掛け粉を飛ばし、風の魔法でその粉を警備兵の元に届けた。


「「・・・・」」


二人はズルズルとその場に崩れ落ちる。

私はもう少し様子を見てから近付き、二人が規則正しい寝息をたてている事に安堵した。


大丈夫だと思っていたけど、ちゃんと睡眠の効果が出て良かった。


私はその後、その場に倒れたままだと通り掛かった人に怪しまれると思い、結構重い二人を頑張って立たせそれぞれに硬化の魔法を掛けてその場に立たせ直した。

そっと執務室の扉を開け、直ぐに中に入らず目を閉じて部屋の中に侵入者探知の魔法が掛かっていないか確認する。


「とりあえず魔法は掛かって無いみたいね」


そう呟き静かに中に入っていった。


執務室には、執務机と花瓶が乗った棚や応接用の長椅子と机があり、壁には沢山の本が仕舞ってある本棚がある。

とりあえず執務机の引き出しや机の裏、棚など目につく所を片っ端から調べたがそれらしい書類は見付からなかった。

私はもう一度部屋の中に何かおかしな所は無いか目を閉じ探る。


「!」


壁の本棚から微かに魔力の気配を感じ、その本棚に近付いた。


一見して普通の本棚だけど、う~ん前世で読んだ漫画とかなら大概どれかの本を動かすと・・・・・本当にあったよ。


私は1冊だけ背表紙に何も書かれていない明らかに怪しい本を引抜くと、案の定本棚が横に動き後ろから隠し扉が現れた。

さすがに扉には侵入者探知の魔法が掛かっていたので、手をかざしその魔法を一時的に解除する。完全に解除する事は可能だが、探知魔法が無くなっている事に気が付かれると中に入った事がバレてしまうので一時的にである。


扉を開けると明かりの無い階段があり、掌の上に光魔法で光の球を出して足元を照らしながら降りた。そしてその先にはまた扉があり、ここには特に魔法が掛かって無かったのでそのまま扉を開けて中に入っていく。

光の球を天井に浮かせ辺りを照らし部屋の中を見る。部屋はとても狭く机が1つ置いてあるだけの空間。その机の上には鍵の付いた箱が置いてあった。


・・・これっぽいわね。


鍵に手をかざしカチャリと音が鳴って鍵が外れる。

蓋を開けると中には何枚かの書類が入っていた。

私はそれを手に取りそれぞれ内容を確認してニヤリと笑う。


これだけあれば大丈夫そうね。


そう思い、その書類の束を持って行くことに。

戻る前に箱の鍵をちゃんと閉め直し、隠し部屋の探知魔法の解除を解き本棚も元の位置に戻して執務室を後にする。

去り際に、軽く雷の魔法で警備の二人を起こしつつ、硬化の魔法を解くことも忘れなかった。


部屋に戻り書類を改めて見直してから隠し、舞踏会に備えるためベットに潜り込んで眠りについた。



────舞踏会開始ちょっと前。



もうすぐ舞踏会が始まるので、アンナさんが忙しなく私の姿の最終チェックをしている。


「うん!よし!サラお嬢様、凄くお綺麗です!」

「あ、ありがとう・・・」


アンナさんは張り切って私を豪華に着飾ってくれたのだが、久し振りの着せ替え人形状態で正直ちょっとぐったり。


「・・・そう言えば、サラお嬢様・・・今日の舞踏会でクロード様が何か企んでいるご様子なのですが」

「・・・・」

「私、サラお嬢様の事が心配で!何か私にお手伝い出来る事が有りますでしょうか?」

「・・・なら、護身用にドレスの下にこれをこう言う風に着けたいんだけど出来るかな?」

「え?これを?」

「あと、これも見付からない様にドレスの中に隠したいんだけど・・・」

「・・・分かりました。お任せ下さい!」


少し思案してから、アンナさんは私の希望する様にドレスを整えてくれた。


では、そろそろ本気を出しますか!

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