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情報収集

王子が出ていった後、私は冷静になり聞いた話をまとめてみることにした。


◇仮面の男はアルカディア王国の第二王子でジークフリード様の弟

◇ここはクロード王子の離宮で中はほぼ自由に歩けるが外には出れない一応軟禁状態(私的には逃げようと思えば逃げれるが・・・)

◇多分話からすると今までと今回の拐われた女性達は、おそらくクロード王子派閥の大臣や貴族への賄賂品

◇クロード王子はジークフリード様が嫌いで第二王子の地位に不満

◇売人達を殺した黒装束の男はクロード王子の命で動く

◇前ジークフリード様を襲ってきたのもおそらく黒装束の男の仲間


これは総合的に考えて・・・


典型的な王位継承争いのお家騒動じゃないか!!


私はただ、人身売人達と取引相手を潰すだけのつもりでいたのに予想外に大きな事に関わってしまったらしい。


・・・仕方がない。面倒だけど、ここまで知ってほっとけないか。


そう思い早速部屋から出て情報収集を始める事にした。



────軟禁生活3日目。


あれから離宮の色々な所で働いている人達に話を聞いて回り、多少クロード王子の情報を得ることが出来た。

まずみんなに共通しているのが、働いているほとんどの人がクロード王子の事を恐れている。まあ、正確にはクロード王子お抱え黒装束の暗殺集団に。

どうやらクロード王子に逆らった者は、密かにその暗殺集団に消されてしまうらしい。

あと、クロード王子は国王の側室の子供でジークフリード様とは同じ日に少し遅れて生まれた異母兄弟。母親の身分が王妃様より低く、小さい時から周りの者にジークフリード様と様々な事を比べられて劣等感を持ってるみたいだ。

それから近付く事を禁じられている執務室に、時々色んな貴族の男が入っていくのを見掛ける。多分密談を交わしているのだろうが、扉の前に衛兵が立っていて無闇に近付けない。衛兵を倒す事も出来るが後始末が面倒だし、今のところ私の力を王子は知らないので下手に手の内がバレない様に行動する。

ちなみに、試しに離宮の外に足を踏み出してみたら何処からともなく衛兵が現れ離宮の中に戻されてしまった。多分、離宮の周りに怪しい者が出入りしたら衛兵に知らせる魔法が仕掛けられているのだろう。


「はぁ~」

「サラお嬢様、どうされました?」


軟禁生活中にずっとお世話をしてくれたアンナさんとはだいぶ仲良くなれた。

アンナさんは男爵家の娘で私より2つ年下、クロード王子の元に行儀見習いとして侍女をしている。


「いや、クロード王子ってあの貴族達と執務室で何をしてるのかなと思って」

「・・・さあ?さすがにお仕えして1年以上経ちますが私にもさっぱり検討がつきません・・・あ、そう言えば」

「そう言えば?」

「お茶をお持ちした時に一度だけ、貴族の皆様が何か書類の様な物にそれぞれがサインしていらっしゃる姿を拝見いたしました」

「書類?」

「はい。直ぐ出ていく様に言われた為何の書類かは分からなかったのですが、チラリと見えたのは他にも沢山の方のサインが」

「ふむ」

「あ、あの、この事はクロード様には・・・」

「勿論絶対に言わないから安心して」


不安そうにしているアンナさんを安心させるためニコリと微笑んだ。


しかし、サインの連なった書類か・・・気になる。やっぱり一度執務室に忍び込んでみるか。


コンコン


扉がノックされたので、アンナさんが向かい扉を開けた。

アンナさんが恭しく頭を垂れ、入ってきたのはクロード王子。


「サラここでの生活はどうだ?」

「・・・アンナさんが良くしてくれるので、それなりに快適です」

「そうか・・・アンナ席を外す様に」

「・・・はい」


そう言ってアンナさんは一礼をして出ていった。


そして私達はまたそれぞれ長椅子に座って話す事に。


「サラ、お前は喫茶店で働いているそうだな」

「・・・調べられたんですね」

「あぁ、街外れの小さな店だったからなかなか分からなかったがな」

「小さくても私にとっては大事な店です!」

「まあそんな事はどうでも良いが・・・」


どうでも良くない!!


刺すようにクロード王子を見るが気にした様子も無く話を進める。


「その店に最近我『兄上』が頻繁に通っている事が分かったのだ。しかも、目的はそこの女店主らしい」

「・・・・」

「確か女店主は長い銀髪に紫の瞳の美しい女性だとか・・・そう、まるでお前の様に」


じっと私を見つめてくる。


「はぁ~そこまで分かってるなら、その女店主は私だと確信してるんでしょ?」

「まあな」

「それで、その女店主が私だと知ってどうするつもりですか?」

「決まっている。兄上のお気に入りの女が手元に居るのだ、これを利用しない手は無いだろう?」

「まあ普通はそうですね。ちなみに私どこかの大臣か貴族に賄賂品として渡される予定だったんですよね?」

「・・・いや、お前の事が気に入っていたから、このまま手元に置いておくつもりだった。ゆくゆくは私の妾ぐらいにはしてやるつもりだ」

「お断りします」

「ふん、そう言うと思っていた。簡単に私の手に落ちては面白く無いからな」

「・・・・」


・・・何でこう王子系に好かれてしまうんだろう。求めて無いのに・・・。


「さて話を戻すが、兄上のお気に入りのお前が私の手元にある事と、王位継承権を放棄をするよう手紙で伝えてある」

「要は脅迫ですね」

「まあそうとも言うな」

「私にそんな価値があるとも思えないんですが・・・」

「それは兄上次第だろう。そこで、明日の夜城で開かれる舞踏会にお前を連れて参加する」

「な、何で私も?」

「そこは父上や国の官僚達が多く参加する場。兄上にはそこで王位継承権を放棄すると宣言させる。お前は脅しの材料だ」

「なっ!・・・でも脅しに屈しなかったら?」

「まあ、その時は・・・な」


そう言葉を切って黒い笑みを溢す。

私はその笑みに寒気を走らせ、これは行動を早めた方が良いと思った。

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