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仮面の男

※少し残虐な表現があります。苦手な方は気を付けて下さい。

何故私が大人しく船に乗り連れて行かれているのかと言うと、売人達も取引相手もまとめて捕まえようと思っているからだ。

もし売人だけ捕まえても、取引相手は捕まっていないので結局同じことを繰り返すと思ったし、何より女性を物のように扱って売買する事が許せなかったのでちょ~~~と痛い目にあってもらおうかと。


「連れて来ました」


男に連れられ入った部屋で私はある人物に思わず目を奪われた。

長い足を優雅に組み座る『仮面』の男。

後で束ねた水色の髪に、目元だけ隠れる仮面から覗く怜悧な輝きの金色の瞳。整った顔立ちをしているので、多分仮面を取れば結構な美形であると予想出来る。

一目で高貴な家柄だと分かる雰囲気を醸し出していた。


予想ではどっかの肥太った商人か下級貴族辺りの男が居ると思っていたので、大物感たっぷりの男に驚く。


しかし、この瞳どっかで見たことあるような・・・。


私はそう思いじっと仮面の中の瞳を覗きこんだ。


「ほぅ」


その視線に気が付いた男が、面白いものを見るようにこちらを見返してくる。


「どうです?今回は結構上物が揃ってますよ?」


そう声を発したのは、仮面の男の向かい側に座っていた多分この売人グループのボス。


「ふむ・・・確かにこれは今までの中で一番質が良さそうだ」

「・・・・」


嘗める様に私の全身を見る仮面の男の視線に背筋がゾワゾワっとした。正直何を考えているか分からないあの目が恐い。


うっ・・・また気持ちが悪くなってきた・・・。


そうして船酔いの気分の悪さと男の視線に耐えながら背中に冷や汗をかいていると、


「ボス!大変だ!船倉の女達が一人も居ないんだ!」


焦ったように男が部屋に駆け込んで来た。


「なに!ここは海の上だからどこにも逃げられるはずが無い!絶対船内に隠れて居るはずだ!くまなく探せ!」

「・・・もうくまなく探したんですが・・・」

「なっ!どう言うことだ!?」

「それは俺達にもさっぱり・・・」


やっと気が付いたみたいね。


実は他の女性達は元々この船には乗っていないかったのだ。

あの港での霧は、私が水の魔法で起こし光の魔法と合わせて女性達が然もそこに居るよに錯覚させた。

そして男達がその女性達に気が行ってる間に、本物の女性達の周りに闇の魔法で目隠しをし夜の闇に紛れて逃がしておいたのだ。

船倉の女性達は、薄暗い部屋を利用して光と闇の魔法を組み合わせてあたかもそこに人が居ると錯覚させておいた。

私が部屋から居なくなったので、その効力が切れてやっと居ないことに気が付いた様だけど、今から戻ってももう間に合わないでしょうけどね。

私はこっそりと上手くいった事にほくそ笑んだ。


「・・・面白い・・気に入った」


仮面の男は私の様子に気が付き、じっと見つめてニヤリと笑いボソッと呟いた。


な、なんか凄い嫌な言葉聞いたんだけど。まじ泣きたい・・・。


「・・・さて、どうやらそちらのミスで約束の娘達を用意出来なかったみたいだな」

「ま、待ってくれ!直ぐに戻って用意する!明日、明日には絶対に!」


仮面の男は立ち上がって帰ろうとしているので、売人のボスはそれを必死で止める。


「・・・明日か、まあもうお前達に明日は無いがな・・・・やれ」

「うっ!」

「え?」


ボスが突然呻き声を上げてその場に崩れ落ち動かなくなった。そして倒れた体の下から大量の血が流れ出る。


一体何が!?


私が動揺して動けないでいると、仮面の男の後ろから血に濡れた剣を持った黒い瞳の目元だけが出ている黒装束の男が現れたのだ。


「ひぃぃーーーー!」


黒装束の男を見た売人の男達はその場から逃げ出そうと扉に向かい・・・一瞬でそれぞれの体の一部が無くなりそこから血が噴水の様に飛び出してそのまま倒れた。

顔に生暖かい物が付く。それを手で拭うと手が真っ赤に・・・。


「ひっ!」


私は一歩後ずさると背中に何かが当たり、振り返るといつの間に来ていたのか仮面の男が私を見下ろし口角を上げる。


しまった!!


目の前で人が無惨に死んでいくあまりの惨状に動揺していた為、一瞬反応が遅れてしまう。

次の瞬間お腹に強い衝撃を受け意識を失った。

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