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ヒューイ・アズベルト

僕はヒューイ・アズベルト

7歳の時にアズベルト公爵家の分家から本家に養子に入った。

将来はアズベルト公爵家の当主と殿下の宰相となるべく様々な教育を受けている。


そして僕には1つ歳上の義姉が居る。

アズベルト公爵の実の娘で、その容姿は義弟の僕から見てもとても美しく自慢の義姉だ。

義姉は本家の実子である事を鼻にかけず、義弟の僕を実の弟の様に凄く可愛がってくれた。

僕はそんな義姉がとても大好きだった。


義姉にはこの国の王太子の婚約者が居る。

将来義姉が王太子と婚姻し、家を出て行くと思うと胸が苦しくなるが、義姉の幸せを考えてこの気持ちを押し殺すことにした。


そんなある日、王侯貴族が沢山参加する舞踏会に家族全員で参加した時事件は起こった。

あの義姉の婚約者が、沢山の人が見てる前で義姉に婚約破棄を宣言したのだ。

最初王太子に激しい怒りを覚え、直ぐに義姉の元に行こうとしたがそこでふと思った。

このまま義姉が婚約破棄されれば、もう王太子に嫁ぐ事もなくずっとアズベルト家で一緒に暮らせるのではと・・・。

もし他に婚約の話が出ても僕が握り潰せば良いだけの事。

その素晴らしい考えに、僕は誰にも気付かれない様に口角を上げて笑う。

しかし、次の王太子の言葉に僕は固まった。

身分剥奪?国外追放?

冗談じゃない!それでは結局義姉と離れる事になるじゃないか!

その言葉を撤回させようと動こうとするよりも早く、義姉が肯定の言葉を述べ会場から去っていってしまった。

僕は急いで義姉の後を追おうとしたが、周りの貴族達に事情を聞かれ直ぐに追うことが出来い。

ようやく貴族達から解放され急ぎ屋敷に向かったが、もうその時には机に置き手紙を残したまま義姉は屋敷から出ていってしまった後だった。


王宮では新しい王太子の婚約者が、贅沢三昧の我儘放題をしていると伝え聞いたがそんな事僕には関係ない。

今重要なのは、義姉を探す事だけだ!

僕はアズベルト家で使えるありとあらゆる手を使って、義姉を探すが一向に見付からない。

段々焦りが募っていく。


そのうち例の婚約者が実は魔族だった事や、止めは刺せなかったが撃退した事が耳に入ってきたが、僕は王太子の自業自得だと思い特に気にしなかった。

そんなある日、王太子が突然アズベルト家にやって来たのだ。

対応した父上から話しを聞くと、義姉の身の潔白の確認と行方を聞かれたそうだ。

勿論義姉には罪など無く、家を出ていって今は行方不明だと伝えると凄く落ち込んだらしい。

その姿にさすがに哀れんで、今義姉を密かに探しているのと見付かったら連絡する事を約束してしまったらしい。

余計な事を・・・。

数日後、義姉を探させていた者からようやく見付かったと連絡があった。

僕は急いで父上に報告すると、父上から連絡が行った王太子が直ぐにアズベルト家に到着した。

話し合いの結果、僕は王太子の供をして義姉の居るアルカディア王国に行くことになったのだ。


出発から数日後、アルカディア王国に到着して直ぐに目的の家に向かった。

ここは義姉が経営して、働いている喫茶店だと報告を受けていたのでそんなに驚かなかったが、王太子と一緒に窓から覗き見た義姉の姿に僕の目は釘付けに。

あんなに楽しそうにコロコロ表情を変えて笑う義姉を屋敷では見たことが無かったのだ。


・・・あんな風に僕の前だけで笑って、僕だけ見て欲しい・・・他の誰にも渡したく無い・・・家に連れて帰ったらもう何処にも行かせない。


義姉を見つめ一人ニヤリと笑った。

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