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9 ☆乙女☆との約束

 ぽつんと遊んでいる☆乙女☆を見つけて声を掛けようとしたが一瞬、躊躇った。(☆乙女☆はミスト好きなんだよな)


☆乙女☆:こん^^


 ☆乙女☆から声を掛けてきた。


月姫:こんー

☆乙女☆:オフどうだった?

月姫:面白かったよwヤローばっかだったけどw

☆乙女☆:やっぱそうなんだw

月姫:乙女も来ればよかったのにwみんないい奴らだったぞw

☆乙女☆:女子が一人もいないのってねえ


 ☆乙女☆からミストのことを聞かれたらどう返そうと思いながら、少し考えて先回りをして言った。


月姫:思った通りギルマスもミストもおっさんだったよw

☆乙女☆:えーww

月姫:まあでも渋い感じw

☆乙女☆:そうなんだw会ってみたかったな

月姫:どこ住んでたっけ?


ミストが現れた。


ミスト:ptpt

ミスト:hi

月姫:こんw相変わらず外人みたいだなw

☆乙女☆:こんです^^

ミスト:俺の悪口言ってたろw

月姫:違うよw今度オフあったら乙女来いよって話w遠いと難しいけどさ

☆乙女☆:横浜かあー名古屋ならなあ

☆乙女☆:うち岐阜なの

ミスト:ああ志野とか織部とか

☆乙女☆:え

☆乙女☆:そんなの知ってるの?すごいね

月姫:それって何

ミスト:陶芸だよ彼女が多治見に住んでたことあるんだってさw

☆乙女☆:そうなんだ。でもうち大垣ってとこだから陶芸はそんな盛んじゃないんだよね


 正樹は『彼女』と言う言葉に☆乙女☆が辛い反応をするのではないか気になり話題を変えようとした。


月姫:今日狩りする?

ミスト:俺パス

月姫:最近あんまり来ないね

ミスト:リア充なんでねw

☆乙女☆:残念

ミスト:じゃまたノ

月姫:ノ

☆乙女☆:^^ノ


 ミストは顔だけ出しに来たのだろう少し話すと落ちていった。


月姫:なんか狩るか

☆乙女☆:やっぱ彼女いるんだね


(気にしたか……)


月姫:そうみたいね

月姫:まあもうミストも三十超えたおっさんだしw一人じゃかわいそうじゃねw

☆乙女☆:かなあ

月姫:乙女さ彼氏とかいないの

月姫:リアルで好きな奴とか

☆乙女☆:いない

☆乙女☆:専門も女子多いし

月姫:男っ気ないよなwいつもw

☆乙女☆:姫こそずっと彼女いないでそ?

月姫:いないこともないけどなw

☆乙女☆:え いるの

月姫:そろそろ別れそうww

☆乙女☆:あらまw



 正樹はどこかしら冷めているせいか彼女ができても続かなかった。まず話があまり盛り上がらない。女からみると正樹は優しくてナイトのようなイメージを持つらしいが実際はマイペースで同性の友達のような関係になりやすかった。

 告白してくる女からすると甘い恋愛関係を想像しながら近づいてくるのだろう。そんな関係は正樹も疲れたし相手も幻滅していき、深い関係になるまえに終焉を迎える。



 昨日会った彼女のことを思い出した。恋人の亜里沙とは告白されて付き合い始め三ヶ月経っていた。正樹がやっているネットゲーム『Knight Road』に興味があるというので実際にプレイするところを見せてやろうと家に誘った。

「そこ座ってて、今pc起動するからさ」

 正樹がパソコンの電源を入れ、画面を見ながら立ち上がるのを少し待ち、ゲーム画面の『Knight Road』という文字とファンファーレが流れ出した時、振り返った。

「これこれ。……」

 亜里沙は正樹のベッドに下着姿になって腰かけていた。

「もう私たち付き合って三ヶ月よね」

 艶やかな茶色いストレートの髪を指先に巻きつけながら亜里沙は言った。いきなりのシチュエーションに正樹は躊躇った。

「ちょっといきなり過ぎない?」

「だって。正樹君、全然手え出してこないじゃん。アリサのことどう思ってるの?」

 (どう思ってるんだろ……)

 言葉が返せず沈黙する正樹に亜里沙はいらだった。

「ワタシさあ。今、サークルの先輩から告られてるの」

「そうか」

「そうかって……」

 正樹には亜里沙が何を言いたいのか何をしたいのか理解ができなかった。

「どうすればいいわけ?」

「ワタシたち恋人でしょ?」

 亜里沙が声を高くしていきり立った。

「もっとゆっくりじゃだめなの?気持ちとか色々」

「そんなにのろのろやってたら楽しくないじゃん」

「ごめん」

「もういい」

 亜里沙は服を着始めた。正樹は無感情に亜里沙の服を着るさまを見た。あっという間に着替えて

「じゃあね」

 と言って部屋を出て行った。

追いかけることも思いつかないほど(今の何だったんだ?)と静観してしまっている自分がいた。

 ただ少し疲れたなと思って椅子に座りネットゲームのログインを始めた。



 正樹は友達が多いほうだが女友達は皆無だった。そして恋愛関係のない付き合いができる唯一の女である☆乙女☆に思わず興味をもった。


月姫:なあ名古屋ってなんかある?

☆乙女☆:きし麺とかw

月姫:食い物かよw

月姫:名古屋ってちょっと行ってみたいけどなんかあるのかな

☆乙女☆:どうだろw東京いくほうがいいでそw

月姫:そりゃそうだなw

☆乙女☆:名古屋まつりがあるかな 行ったことないけど

月姫:まつりかw

☆乙女☆:戦国武将系のコスしていっぱい人が歩くらしいよw信長とかw

月姫:面白そうだなw俺戦国好きだしww

☆乙女☆:私も行ってみたいけど周りに歴女いないしw一人もなんかねww

月姫:一緒に行ってみるか

☆乙女☆:え

月姫:まあ俺は行くよw

☆乙女☆:うーん考えとく

月姫:ググッとこw


 戦国武将は好きだったので気が付くと☆乙女☆のことをそっちのけで祭りについて調べ始めていた。(秋か)

 一つ楽しみができた正樹は明日から始める家庭教師のバイト代を使わないように貯めておこうと決心した。

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