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グラデーション  作者: はぎわら 歓


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21 白薔薇

 今年は一年生を受け持つことになった正樹は、少しだけ楽ができるかなと思いながら、明日の授業の内容を反芻した。


 ☆乙女☆にプロポーズを断られてから三年がたっていた。

付き合いは相変わらず続いていたし、気持ちも変わることはなかった。

考えてみると自分の人生の大半に、エンドレスで☆乙女☆が存在している。

 

 ネットゲームの『KR』を始めて二十年。(乙女と二十年の付き合いか。)

☆乙女☆と恋人関係になったのは教職に就いた年からなので十年が経過していた。


 気持ちも関係も色褪せることなく緩やかにだが、深まっていると思う。

変化には乏しいが、同じ色がどんどん重なって、深い色になるようなそんな気がしていた。(二十周年記念か)

 正樹は、思い立って☆乙女☆に会いに行こうと決心した。



 中学校の創立記念日は金曜日だったので、正樹は久しぶりに三連休となった。ちょうど部活動も休みで学校行事に追われることもなかった。


 ☆乙女☆の仕事は保育園の調理で、残業はほとんどないらしく五時半には退社できるらしい。

正樹は朝から家を出て☆乙女☆のすむ、岐阜県へと向かった。


 実は長い付き合いの中、☆乙女☆は実家暮らしだったので、岐阜県に行ったことはなかった。

彼女は山ばかりで、暑くて寒い特に特色のない町だといい、いつも横浜港を眺めては、気持ちよさそうに潮風を受けていた。


 大垣駅に降り立つ。(そんなに田舎じゃないじゃん)

明るい雰囲気に少し気分が和んだ。

調べておいた☆乙女☆の勤める保育園の方向へ、とりあえず歩き始めた。


 まだ時間は午前十一時で時間は十分に合った。

しばらく歩くと城が見えてきた。(なにこれ。城なんかあるの。)

白さがまぶしい美しい城だった。


 繊細な雰囲気の大垣城は、正樹には女性的に映り☆乙女☆のように思えた。

中に入ってみたかったが今度二人で来ようと思い、外から眺めるだけにした。


 喉が渇いたので、目の前の喫茶店に入った。

注文はアイスコーヒーと決めていたが、一応メニューを斜め読みすると『水まんじゅう』という文字が目に入った。(これ、乙女が前に作ってくれたやつかな) 気になって注文してみると、とろっとしたクズにくるまれた餡子の水菓子が出てきた。(やっぱり、あれだ)

 正樹はつるっと口の中にいれた。

☆乙女☆が作ってくれたものと同じ味がする。

透明感のある涼しげな水まんじゅうは、正樹を爽やかな気分にさせる。(大垣っていい街じゃないか)


 店を出て、ぶらぶらうろつき町を感じてみる。

清らかで情緒のある透明な雰囲気を、☆乙女☆と重ね合わせていた。(ここで育ったんだなあ)

感慨深く目を細めて周囲を見渡した。


 途中、白の薔薇を二本買った。花屋が言うには二本だと『二人の世界』という意味になるらしい。

赤い薔薇のほうがいいかと考えたが、白い薔薇は『純潔、尊敬』という花言葉を持っており、枯れると『生涯を誓う』という言葉に変わるらしく、自分の想いにふさわしいと思った。(俺の純潔は乙女に捧げてるしな)

 男なのに処女のようだと思って、正樹はくすりと笑った。

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