第九十八話 原点
「あれはきっとなんか知ってるね」
俺たちはあの後、二年生の階を後にして午後からの授業を普通に受けた。
二年生の階を去る間、ずっと二年生に見られていたけど特に何かちょっかいを出される事なく帰れた。
そして今、昼からの授業も終わって俺たちは寮に戻って俺の部屋に集まっている。
今日のあの様子だと訓練に出たところで、何か仕掛けられる可能性もあるかもしれないという事で今日は訓練を中止して俺の部屋に集まってこれからどうするか考える事にしたのだ。
「そうだな。明らかに含みのある言い方してたし」
「それに否定はしなかったしな」
ライア君の言葉を受けたジャグナル君とドーラ君が言葉を繋ぐ。
そうだ。三人が言う通り否定もしなければ疑わしい言動だったし、何か知ってるようなのは間違いない。ただ証拠も何もないってのがな……。
「魔導具、貴重、なぜ、持つ?」
ん? 確かに言われてみればそうだ。いくら貴族の子供達だとは言え、わざわざ貴重なものを子供に渡したりはあまりしないと思う。
「そうだね。バルテル君の言う通りそこは疑問だね。そこに何かヒントがあるかも」
うん、確かにそこに何か突破口がありそうな気がする。
「でも、それだけじゃ手のつけようがねぇな。他になんかねぇのかよ?」
いやいやドーラ君、何かないのかって言って出てきたら苦労せんよ。
「そう言えば、最初は二年生が物を売りつけようとしてたのが問題だったよね?」
……そう言われればそうだ。それにベイル先輩が何か気付いた感じで……。
「そう言えば、ベイル先輩って何に気付いたんだろう?」
「うーん、そこは考えても分からないけどとりあえず最初のところがキーポイントになってそうだね」
そうだ。ベイル先輩が誰にやられたかってのは気になるけど、そいつを見つける為にもベイル先輩が何に気付いたのか? 何を知ったのかを知る必要がある。
「じゃあとりあえず原点に帰って二年生の動きについて調べよう!」
俺がそう言うとみんな黙って頷いた。




