第九十六話 歓迎ムード
俺はそのままドアをスライドさせてドアを開く。
「うわっ!?」
「ライト君っ!?」
俺は決して上から黒板消しが落ちてきたとかで驚いた訳ではない。当然ドアを開けて黒板消しが落ちてくる事なんてなかったし、一応入る前にその辺は見てある。
何にびっくりしたかと言うと俺がドアを開けると突然前方から火の玉が飛んできたのだ。
それに気付いた俺はギリギリのところで身体を反らしてかわした。でも、態勢が不十分で尻餅をついてしまった。
「おいライト!」
「大丈夫か!?」
「ライト、ケツ、大丈夫、か?」
俺は火の玉を避けたけど、幸いな事にその火の玉はみんなに当たる事はなかったようだ。
それにしてもバルテル君は冷静だな。部位の心配までしてくれる。
「……大丈夫だよ」
俺は視界の先にいる人物、金髪の男を見据えて立ち上がる。
その金髪の男の周りに男たちがたくさんいる事からこの金髪の男がチェスター先輩だと思われる。
「……チェスター先輩どういう事ですか?」
俺が言うより早く、ライア君が一歩前に出て金髪の男に問いかける。
やっぱりあの男がチェスター先輩か。
「どういう事も何もないだろ? おまえ達が勝手に俺たちのクラスに来たんだ。それに俺たちはただ単に魔導具を打つ練習してただけだ」
そう言ってチェスター先輩は銃らしき形をした魔導具をひらひらと見せヘラヘラしながら言葉を口にする。
あれが魔導具……。
「急に人に向かって打ってきて謝罪もなしかよ!?」
ジャグナル君はチェスター先輩の言葉に激昂し飛びかかろうとする。
「待って! ジャグナル君!!」
俺はすかさずジャグナル君を制止する。
「でもよ!」
「僕は大丈夫だから」
俺がそう言うとジャグナル君はなくなく引き下がった。でも、ジャグナル君だけじゃなくて他の人らもジャグナル君と同じ気持ちなのかチェスター先輩を見据えている。
「……それで? 何しに来たんだ?」
チェスター先輩はキッと目を引き締め、俺の事を見据えた。




