第九十一話 謎多き集団
「影の翼ってのは昔からある不良のグループで恐喝、強盗、何でもありの集団で自分達の思うままに行動する組織だ」
うーん、前世で言う少し前の暴走族みたいなイメージかな? まぁ強盗とかある時点でそれより悪い集団なんだろうけど。
「だが、近年はウェルホルム王国の児童の健全育成計画によって 影の翼は徐々に弱体化していった」
うわ〜なんかちょっとイメージと違う世界観になってきたな。
児童の健全育成計画って……。
「でも、近頃新しくリーダーになった男を前に勢力を盛り返したって訳だ」
新しいリーダー……そいつが集団を強化したのか。うーん、よっぽど悪い奴なんだろうな。でも、それだけ人を惹きつける力があるってだろうか? 不良のリーダーだもんな。
「そのリーダーってのは?」
「それがそのリーダーって奴の姿を見た奴はいねぇんだ。と言うより 影の翼自体がベールに包まれてるからな」
「そうなんだ」
謎の組織……なんか嫌な予感がするな。
「ともかくだ! 俺はそんな奴らと一緒じゃねぇ! 俺はただ強さを極めたいだけだ!」
「そうだ! 奴らみたいな薄暗い事はしねぇ! やるなら姿見せて正々堂々だ!」
そう言えば確かにこの二人は絡んできたり、自分より弱い人間をはべらかしてたけど、犯罪行為はしてるの見た事ないな。それに自分も表舞台に立つし。
「はいはい、分かったからそろそろ帰ろうか!」
「「ちゃんと聞け!」」
いつもの如くライア君が二人をからかい話をまとめる。
俺はいつものやりとりを目の前にしながらなぜか不吉な予感を感じていた。




