第六十八話 トラブル
馬車に揺られながらフランの事を考えてみたけど、どうしても答えが出ない。答えが出ないというより解決策がフランが俺より好きな人を見つけるって事だけど、フランが言ってたように守られたいというのならフランより強くならなくてはいけない。
でも、フランは俺が魔法を教えてしまったせいでおそらくこの世界でかなり上位の実力となっているだろう。
魔法学校は行ってないから分からないけど、無詠唱が出来る時点で魔法使いとしては弱点の一つをなくしているし、身体能力も詠唱・無詠唱の身体強化魔法を使えば問題ない。
「はぁ〜……フランの婚期が遅れたら俺のせいだな。なんとか強い奴を探さないと」
とは言ったものの、兄としては強いだけじゃなく性格も良くないと許せないだろうし、フランは顔も選ぶだろう。
……これは見つからないかもしれない。
あれもこれもそれも揃っている人なんて滅多にいないし、まして俺より強いって人がまず物凄く少ない。仮に俺より強くても顔がダメだった場合、フランは受け入れるだろうか? ……ダメだ。きっと、守られたいって言ってる時点でお姫様のような事を想像してるだろうし相手にもそれなりのビジュアルを求めるだろう。
「うわっ!」
俺がフランの事を考えていたら、馬車が急にスピードをあげ、俺は座っていた椅子からこけ落ちてしまった。
「イテテ、なんだ急に?」
俺はちょっと打った頭をさすりながら起き上がる。
今まで家から学校まででスピードを上げる事なんてなかった。スーラ村を出て一時間程だし日が暮れる様子もない。
聞いてみるか。俺は顔を出して馬を操作している男の人に声をかけた
「どうしたんですか? 何かあったんですか?」
「と、盗賊です! 盗賊が襲ってきたんです!」




