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第六十二話 おばちゃんとクッキー

 久しぶりに家に帰った翌朝、俺は一人でスーラ村を散歩する事にした。

 フランも一緒に行きたがっていたけど、今日は友達と約束があるらしく別行動している。


 『お兄ちゃんの為なら友達捨てる!』


 なんて言い出したけど、さすがに兄離れしてもらわないといけないし友達の大切さを分かって欲しい。

 まぁ前世で友達らしい友達が少なかった俺が言うのもあれだけと。

 この世界に転生して戦士学校に入学していろいろあったけど、今ではライア君やジャグナル君やクラスメイト達と過ごす時間は楽しいと思っている自分がいる。

 そう思うと戦士学校に入学してしまったのもいい事だったのだろう。


 「あっ、ここは……」


 俺はスーラ村を散歩してうちに村に一軒しかない店にたどり着いていた。

 そう、ここはあの美味しいクッキーをくれたおばちゃんの店だ。


 「クッキー懐かしいな。あれは美味しかったしもう一度食べたいけど……」


 俺はズボンのポケットに手を入れ漁る。

 しかし、働いてもいないし、帰って来てお小遣いももらってないからお金なんてあるはずがない。

 それに、いくら異世界で魔法が存在するとは言えポケットを叩いてもビスケ……クッキーが出てくるはずがない。

 これはイメージしても魔法として成り立たない。


 「はぁ〜……そりゃそうだよな」

 「おっ、久しぶりだね! 元気してたかい?」


 俺が店先でため息をつぬと店からおばちゃんが出てきた。

 

 「あっ、どうもお久しぶりです」

 「特待生で学校入学したんだって? 人は見かけによらないね! えらいえらい! はは!」


 おばちゃんは笑いながら俺の肩をバシバシ叩いてくる。

 イタイイタイ! なんて力してるの!? 気功!? 無詠唱!? それとも身体強化の魔法!?


 「な、なんで知ってるんですか? それに痛いです」

 「ん? あぁ悪かったね! なんで知ってるって? 小さな村じゃすぐに知れ渡るさ!」


 いや、絶対知らない人もいるだろうけど、きっとおばちゃんが噂好きとかなんだろうな。


 「あっ、ちょっと待ってな!」


 おばちゃんはそういうと店の中へ戻っていく。

 

 「はい、これ! 入学祝いさ!」


 そう言っておばちゃんは袋いっぱいのクッキーをくれた。

 おぉ! ラッキー!

 まさかもらえるとは……この際入学祝いにしてはちゃちだとかは気にしないでありがたく頂こう。


 「ありがとう、おばちゃん!」

 「どういたしまして! 一番になるんだよ!」

 「はい!」


 俺は学年の番長になって一番になりましたなんて言えず、素直に返事してクッキーを受け取った。

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