第六十一話 聞きたくなかった話
「って事はお兄ちゃんは誰にもできなかった事をしたって事?」
「うん、そういう事になるね」
『前世のネット小説の知識使ったらそのままできました』なんて事は言えない。
ネット小説なんて言っても伝わらないだろうけど。
それにしても、ネット小説の知識が通じるかと思ったら違うところもあるんだもんな。
そもそも俺にテンプレの神様が降りてこないし。
まぁ、おしいところまで来るけど最後の最後で笑いの神様というかオチが待ってるんだもんな。
「じゃあやっぱりお兄ちゃんは天才じゃん! さすが私のお兄ちゃん!」
「うぉっ!?」
そういう事とフランは俺に抱きついてきた。
あぁ、シャンプーのいい匂いが……。
それにこの感触……フランもしばらく合わないうちにちょっと成長したのか?
ってそんな事考えてる場合じゃない!!
「やっぱりお兄ちゃんを越える人なんていないよ! ……抱いて?」
「無理無理! ダメダメ!」
「お兄ちゃんのケチ……まだ、私の成長が足りないから? じゃあもうちょっと成長したら……」
「そういう事問題じゃない! それにフラン、どこで『抱いて』とかそんな言葉覚えてきたんだ!?」
「……夜、お母さんがお父さんに……」
「……そっか」
聞かなければ良かった。
親のこういう話は聞きたくないもんだ。
って言うかフラン、いつ聞いたんだ?
やっぱりちょっとトイレ行こうかと思ったら明かりがあって覗いたらってやつだろうか?
俺にまた妹とか弟が出来たりするんだろうか?
でも、年も離れてるし……。
「「……」」
俺とフランの間に微妙な空気が流れる。
なんか一気に空気が冷めた感じがする。
まぁこれはこれで俺にとって悪い事じゃないけど。
「……寝るか」
「……うん」
俺が言うとフランは何も間違いをおかすことなく就寝した。




