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第五十九話 洗礼

 「ライト、学年で一番になったんだって?」

 「凄いな! さすが父さんの息子だ!」


 俺たち家族は今のリビングにあるテーブルを囲みながら椅子に座っている。

 左手にフラン、テーブルの向こうに父さん、そして母さんは紅茶を淹れている。

 俺が家に帰ってくるより前に学校から成績が家に送られていたらしい。

 それで、俺が学年で一番の成績だという知らせを聞いて家族みんなで喜んだそうだ。

 まさかこの世界にも通知表みたいなものがあったとは……。


 「いや、たまたまだよ」


 成績だけじゃなく学年の番長もやってるよなんてのは口が裂けても言えない。

 あまり成績の話や授業とか戦闘に繋がる話はしたくない。

 だから俺は話を流し気味に返答する。


 「いや、たまたまでは無理だろう! ライトは小さい時から父さんみたいになりたいって言って身体鍛えてたからな! 一時期は心したが……その努力の成果だな!」


 父さんはそう言って豪快に笑って話に食いついてきた。

 いや、身体はあんま鍛えてないし父さんみたいな身体にはなってないし、なんとも申し訳ない気持ちだし……あんまりこの話を続けたくない。

 

 「はは……そうかな?」

 「そうよ。ライトは頑張ってたもの」


 そう言って母さんは紅茶を淹れたカップをみんなに配って俺を後ろから抱きしめる。

 いや〜背中に当たる感触……これが実の母でなければ男に囲まれた生活を過ごしていた俺はヤバかっただろう。


 「あっ、お母さんズルイ!!」


 と思ってたらフランが前から抱きついてきた。

 おい、フラン! 

 お兄ちゃんの股を跨ぐな!

 それにズルイとかじゃない!


 「お、おいフラン! そこを退くんだ!」

 「はは! おまえ達は仲が良いな!」


 おい、父さん!

 そんな楽天的な返答してる場合じゃないって! もっと状況をよく見て!

 母さんも! 兄妹だからって甘く見ちゃダメだ!

 あ〜!!! 

 俺は家に帰って早々にフランの洗礼を受けた。

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