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第五十六話 信長の気持ちが分かる気がします

 「「「「「ライトおめでとう!」」」」」


 教室のドアを開けて入るなりみんなが声を揃えて祝福の言葉を口にした。

 それに続いて、


 『さすがライトだ!』

 『A組の誇りだ!』

 『あのドーラを倒すなんて凄い!』

 『ライト君、凄い!』

 『これで学年の番長だな!』

 『次は上級生相手に学校統一か?』


 なんて俺の周りを囲みながら口々に言葉を口にする。

 いや、俺は平和な学校生活を送りたいので上級生にケンカ売ったりなんかしません。

 そもそも学校はそういう目的で行動する場所ではありません。

 っていうか包囲されているんですけど!?


 「はいはい! みんな落ち着いて! ライト君もまだ疲れが残ってるんだから!」


 俺が包囲されているのを助けるようにライア君が叫ぶ。

 それによって俺を包囲していたクラスメイトは少し距離をあける。

 まさか俺が包囲される日が来るなんて……アイドルとか芸能人ってこんな感じだったんだろうか?

 あんな包囲されて口々に言われてもみくちゃになった時に神対応できる人って本当にすごいな。

 今ちょっと神対応の凄さが分かった気がする。


 「はい、みんな落ち着いて! ……じゃあライト君、学年の番長として一言よろしくお願いします!」

 「えっ!?」


 俺がライア君の対応で助かったと安心していると突然ライア君が振ってきた。

 しかも、ライア君を見るとニヤリとしているし確信犯だろう。

 くそっ、まさか身近に敵がいたとは……今なら信長の気持ちが分かる気がする。

 でも、悔やんでいてもみんなは待ってくれない。

 みんな黙って真剣な眼差しで俺を見ている。

 ここで逃げるという選択肢はできない。

 こうなれば信長と一緒で最後の抵抗をするしかないのか……。


 「え〜っと……なんて言ったら分からないけど……俺はドーラを倒して学年のトップになった。俺がいるうちはみんなが楽しい学校生活を送れるように努力する。だからみんなで学校生活をエンジョイしよう!」

 「「「……」」」


 ……あれ? 反応がない? もしかして言う事間違った? 

 えっ? やっぱりケンカ上等みたいな感じじゃないとダメなの?


 「「「おぉぉおおお!!!」」」


 俺が失敗したかと思った次の瞬間歓声が上がった。


 『ライトがトップだと無駄な争いはなさそうだな!』

 『そりゃそうだ! なんてったって圧倒的な強さだからな!』

 『あぁ! なんてったって三人に勝ってるしな!』

 『もう俺たちの学年では争いは起こらないだろ!』

 

 歓声の次に次々と声上がる。


 「はは! さすが、ライト君だ! ケンカ上等とか言わないのがライト君らしいね! 僕そういうの嫌いじゃないよ? みんななんだかんだ争いばっかは好きじゃないだろうしね」


 呆然と立っている俺の隣にやって来てライア君が口を開く。

 そうか、やっぱりみんなもケンカばっかとか誰かに無理矢理従うのとか好きじゃないだろうしな。

 そう思うと俺がこの学校に来た意味もあるのかもしれない。

 でもライア君、嫌いじゃないのはいいけど好きにもならないでください。


 「さて、後でジャグナル君のお見舞いも行こうか?」

 「あっ、そうだね」

 「ライト君がジャグナル君の仇を討ったって聞いたらジャグナル君泣いたりして?」

 「そんな! ジャグナル君は泣かないでしょ?」

 「いや、分からないよ? 意外と涙もろかったり?」

 「はは! それはそれで面白いけど、そんな事言ってたらライア君怒られるよ?」

 「あっ、確かに」

 「「はは!」」


 俺とライア君は顔を見合わせて笑う。

 ジャグナル君も早く治って教室に戻って来て欲しいな。

 A組の教室には笑い声やみんなの話声が絶え間なく響いていた。

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