第五十四話 複雑な心境です
「ライト、おまえの言い分は良く分かった」
俺はクライフ先生に言われた通り職員室に来ている。
そして、クライフ先生に何があったかと聞かれ今日朝登校してからあった事を全て話した。
「まぁみんなに聞いたのと変わりない話だし、おまえのやった事は正当防衛の部類に当たるだろう。しかし、もう少し加減しろよ」
「はい、すいませんでした」
少しの加減でいいとかで済む問題なのかとか疑問に思う部分もあるけど、この世界の常識を全て知っている訳ではないので言う通りに聞いておこう。
「あの……ドーラは大丈夫ですか?」
嫌な奴だけど、それでも障害が残ったりしたら気の良いもんじゃない。
「あぁ、大丈夫だ。骨折はあるが後遺症もないだろう」
「良かった……」
安心した。
でも、ドーラの処罰ってどうなるんだろう?
「あの、ドーラって今後どうなるのでしょうか……?」
退学とかになるんだろうか?
「まぁしばらく治療を兼ねて謹慎って形だな。あいつの能力は戦士としては優秀だからな。ただ、今後は今回みたいな事をしないように教師の方で監視をする形になるだろう」
そうか。
それはそれで良かった。
監視があれば下手な事は出来ないだろうし。
「それはそうとライト」
俺が心の中で安堵しているとクライフ先生が言葉を続ける。
「おまえは転校してきてすぐに一年でトップの実力を示した。教師の俺が言うのもなんだが……これから気をつけろよ?」
さっきの安堵が一転、クライフ先生が不安になるような事を言ってきた。
『一年のトップ』別になりたくてなった訳じゃないけど、まわりはそうは思ってくれないだろう。
今回みたいな事にならないように自分の立場は認めとかなければならない。
俺のせいで誰かが傷つくのは嫌だから。
でも、当初の思惑と違う展開の学校生活に、正直俺の心境は複雑だった。




