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第五十三話 決着

 『次で勝負が決まる』そう思った俺はドーラの動きに注意しながら構え相手の出方を伺う。

 さっきまでのドーラと違い、目つきも鋭くヘラヘラした様子もない。


 「……」

 「……」


 俺とドーラは言葉を発しず、周りにいるドーラの手下達も空気を読んでいるのか静かに俺とドーラを見ている。

 なので、さっきまでと違い静寂がグランドを包んでいる。


 ドーラが拳に力を入れたのに合わせ俺も拳に力を込めた。

 それを合図に俺とドーラは動き出した。

 ドーラのスピードは俺の身体強化がかかっているのと遜色ないスピードで、俺とドーラは二人がいたところのちょうど中間地点で肉薄する。


 「これで最後だぁああ!!」

 「うぉおお!!」

 

 俺とドーラの拳は交錯し顔に迫る。


 「……」

 「……」


 そして、俺とドーラをまた静寂が包む。

 ……俺の顔には痛みがない。

 そして、俺の右拳には感触があった。


 「……おまえの勝ちだ」


 そういうとドーラは膝から崩れ俺にもたれかかってきた。

 勝った……? 俺は勝ったのか?


 「お、おい! しっかりしろ、ドーラ!?」


 最後の一撃は加減も何もなかった。

 それをモロまともに喰らったとしたら……すぐさま魔法をかけた方がいいだろうか?


 「ライト君!」

 「ライト!」


 俺が思案しているとライア君とクライフ先生がやってきた。

 さらにその後ろには担架を抱えながら走っている保健室の先生も一緒にいる。


 「ライト君大丈夫!?」

 「俺は大丈夫だけどドーラが!?」

 「どけ!」


 そういうとクライフ先生と保健室の先生がドーラの様子を伺う。


 「……大丈夫です。気を失って顔の骨が折れるけど治癒魔法をかけて安静にしてれば大丈夫でしょう」

 「そうですか。良かった。……ライト、後で職員室に来なさい」

 「……はい」


 そう言うとクライフ先生と保健室の先生はドーラを担架に乗せ運んで行った。

 そして、それを皮切りにドーラの手下達も校内へと消えて行った。

 俺は悪くない……なんて言うつもりはない。

 ドーラがやってた事は悪いとは言え、結果的に俺も人を傷つけてしまったのだから。


 「ライト君、お疲れ様」

 「えっ、あっ、うん。ありがとう」

 

 スピードはほぼ互角だったしどっちのパンチが先に当たってもおかしくはなかった。

 ただ、最後の瞬間にジャグナル君やライア君、それにクラスメートの仲間達の顔が過ぎり気持ち程度に身体に力が入った。

 それが命運を分けたと思いたい。

 そして、とりあえずは終わったんだ。

 俺はそう思うと身体から力が抜けた。

 

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