第五十二話 ドーラの力
俺はドーラと対峙しながら頭を働かせる。
ドーラが呟いた『80%』って言葉。
さっきも何か呟いてたけど、もしかしたら能力の解放とかだろうか?
いやでも、ライア君みたいに魔法を使っているような感じではなさそうだし……。
そう言えばドーラはテンションが上がってきたとか言ってたから、興奮によってアドレナリンが出て身体のリミッターが解除されているような感じなのだろうか?
ドーラは80%って呟いているけどどこまで上がるのか分からない。
でも、80%って言ったって事はまだスピードは上がるんだろう。
まだ80%のスピードを見てないからなんとも言えないけど、100%の時のスピードは俺の身体能力の魔法と同じくらいにはなるかもしれない。
同じスピードとなれば、俺の方が喧嘩慣れという点で不利になる。
「これはどうだぁぁあああ!!!」
ドーラのスピードは最初に比べて明らかに速い。
それでも、まだなんとか対応できるスピードだ。
「何度も喰らってたまるか!」
俺はドーラの動きを見極め左右のパンチをかわし続けた。
「くらいやがれぇぇえええ!」
ドーラはパンチが当たらないのに痺れを切らして右足で蹴りを繰り出してきた。
「やられるか!」
「なにぃ!?」
俺はその足を受け止めた。
「おまえも痛みを知れ!!」
そして、ドーラの脇腹に向けて右足を蹴り出した。
「くっ!」
ドーラは咄嗟に左腕でガードをしたけど、衝撃は殺せず飛ばされて行く。
「くくく、いいぜ……いいぜライト!! それでこそ学年のトップを決めるのにふさわしい!」
ドーラは俺に蹴り飛ばされた衝撃を受け身を取って片手をつきながら立ち上がり言葉を発する。
「誰がトップとかどうでもいい! ……でも、おまえがトップになってみんなを虐げるならおまえをトップにする訳にはいかない!」
「それでいいんだ!! 全力で来い! 俺の全力見せてやる! ……100%」
ドーラはそう言うと呟き鋭い目つきで俺を睨んできた。




