第四話 喜ぶべき?悲しむべき?
「お兄ちゃん、今日は模擬戦でもする?」
「そうだな」
今日はフランと一緒に秘密基地と言うなの空き地に向かっている。
最近、フランも魔法のコントロールもうまくなったのもあって模擬戦をちょくちょくとしている。
まぁ威力を調整しながら、動く相手に先に魔法を当てたら勝ちって言う二人共鬼役の鬼ごっこ的な感じだ。
まぁ結果は言うまでもなく俺が勝つ事が多い。
転生して知識持っててこれで負けてたら俺はなんだって話だ。
それでも時々意表を突かれて負ける時がある。
……決してスカートの中身に気がいったとかではない。
純粋に負ける時があるのだ。
ちなみ、前の一件があって以降、フランは俺と遊ぶ(訓練)の時はズボンを履いている。
だから、スカートの中身とか気にする以前の問題だ。
喜ぶべきなのか悲しむべきなのか……。
父さんにはあまり男の子の遊びばっかしてフランを男っぽくするなよって言われたけど、俺だってフランには可愛い姿をしてもらいたい。
まぁでもズボンとは言え、タイトなズボンで決して不恰好じゃないあたりはさすが可愛い妹と言うべきか。
今日は黒のズボンに白のシャツだ。
このまま大きくなったら所謂OLってやつだろう。
「どうしたの? お兄ちゃん?」
「な、なんでもない! 最近背伸びたか?」
「どうだろう?」
俺がフランを見ながら将来を想像していると、フランが俺に声をかけてきた。
すかさず、俺は違う話をする。
フランは自分の頭に手を当てながら上を見ている。
危ない危ない。
最近なんか嘘ばっかついている気がするな。
なのに城下町に一人で行くうまい嘘は思いつかない。
こういう時に『嘘スキル』が発動して欲しいものだ。
そんなスキルないけど。
「ん?」
俺は歩く前方に二つの影らしきものを見つけた。
「お兄ちゃん、あれって……」
どうやらフランも気づいたみたいだ。
こういう展開ってあんまりよくない展開な気がするけど……でも、これはイベントってやつだろうか?
とりあえず行くしかないか。
まぁ魔法も使えるし大丈夫だろ。
「フラン、身体強化の魔法を詠唱でかけて待ってろ。……なんかあったら逃げろよ?」
「う、うん。お兄ちゃんは?」
「ちょっと見てくる。なぁに大丈夫だ」
俺はできるだけ爽やかに笑顔でフランに言う。
……ちょっとナルシストだったか。
フランは俺の思いをよそに心配そうな顔をしている。
良かった。変に思われていないみたいだ。
俺はフランの様子を確認すると詠唱に入った。