第四十六話 怒りと仲間
俺は前世も含め、ここまで怒りを覚えた事はない。
まして、声荒げるなんて事はなかった。
それほどまでに俺は感情を抑えられずにいた。
なぜみんなが痛い目に遭わないといけない?
暇つぶし?
おまえの暇つぶしでみんなが痛い目に遭っていい訳がない!
それにおまえの狙いは俺だろ?
他のみんなに手を出すんじゃない!
「おうおう! 見かけによらず怒ると恐いねぇ!」
ドーラはニヤニヤしながら俺に言葉をかけてくる。
その態度が俺の神経を逆なでする。
「うるさい! おまえみたいな奴は許さない!!!」
「おぉこわっ!! 言うねぇ〜、さすが特待生様だ!」
ドーラはヘラヘラしている。
こいつは……。
「ライト君、落ち着いて!! 我を失ったら勝てるものも勝てないよ!!」
そうだ。
怒りに身を任せ感情的になって冷静さを失ってはいけない。
それこそ相手の思うつぼだ。
「ライア、てめぇ誰が誰に勝てるって言ってやがるんだ?」
さっきまでヘラヘラしてたドーラは真剣な顔つきに戻りライア君を睨んでいる。
「そりゃライト君が君に勝つって言ってるんだよ」
「てめぇ、ちょっとベイルさんに目をかけてもらってるからって調子乗るんじゃねぇぞ!」
「誰も調子乗ってないけど? そんなんも分からないの?」
「てめぇ!!!」
ドーラは今にもライア君に飛びかかりそうなくらい怒っている。
ライア君って腕だけじゃなく、口も立つから敵に回したはこわい。
……絶対敵にしてはいけないタイプだ。
でも、ライア君のおかげで少し落ち着けた。
「ドーラ、君の相手は僕じゃなくてあっちでしょ?」
ライア君はそう言って俺の方へ視線を送った。




