第四十話 事件
「ジャグナル君が来てない?」
「ライト君も一緒じゃないのか……」
俺は寮から登校して教室に入ったところでライア君に声をかけられた。
今日は、俺が昨日リノアちゃんの事でショックを引きずり朝寝坊した為に遅く着いたのだ。
今思い出しただけでも、胸が痛くなる。
住んでる場所も聞かなかったし……。
街に通っていつか会えたらいいけど……。
ちなみに、ライア君やジャグナル君は時間が合えば一緒に登校するけど、いつも一緒って訳ではない。
まぁ学校についてからは一緒に行動が多いけど。
それと、ジャグナル君は見かけによらず早めに学校に行くタイプなので始業の時間ギリギリに来ていないのはかなり珍しいらしい。
時々は遅く……とは言ってもギリギリではない時間になる事はあるらしいけど。
「寝坊かな?」
俺はジャグナル君の見た目からそう思ってしまう。
見た目で人を判断したらいけないけど。
でも、俺が来た初日から絡んでくるくらいだし、前世からしても早く学校に来ている方が珍しいと思ってしまう。
「いや、今まででギリギリなんて一度もないからね……何かあったのかな?」
俺とは裏腹にライア君はジャグナル君を心配している。
「でも、まだ時間あるし来るんじゃない?」
「そうだといいけど……」
ジャグナル君の事だ。
きっと、
『悪い! ちょっと腹が痛かって!』
とか言って来るだろう。
「大変だ!! ジャグナルがやられた!」
俺が席に着こうかとした瞬間、クラスメイトが走ってきてドアを開け叫び教室内に声が響いた。
「えっ……?」
「なんだって!? 誰にやられたの!?」
俺はあまりに突然の展開に言葉を失った。
対してライア君は少し予想がついてるのか、すぐさま反応する。
やられたって何? 誰にって?
いったい何がどうなっているの?
「いや、誰にやられたまでかは……」
「ジャグナル君はどこに!?」
「今は保健室で治療を受けてる」
「分かった! ライト君行こう!」
「う、うん……」
俺は何がどうなっているのか受け止められずに、ライア君に言われるがままライア君について教室を後にした。




