第三十九話 一日の成果
「なかなかないな」
あえて『な』ばっか使って何かウケようとかそういうのではない。
俺に笑いの神様は必要ない。
必要なのはテンプレの神様だ。
俺は気を取り直してライア君に案内してもらい割の良いバイト(?)を探しているけど、なかなか割の良いのは見つからない。
まぁ前世でも大学の授業料ってバイトで簡単に稼げる程じゃなかったしそうそうある訳じゃない。
しかも、王立魔法学校の授業料は年間金貨十枚。
日本円換算で年間約一千万。
んー……改めて考えると普通にお金を稼ぐってのがそもそも間違いのような気がしてきた。
手っ取り早くお金を稼ぐ方法……この世界に宝くじなんてある訳ないしあっても都合良く当たらないだろうし。
なんてったってこの世界はネット小説っぽくご都合主義でいくにしてはテンプレも中途半端だし、ちょくちょく変な展開に持っていかれてしまうし……。
神様がいるならクレーム言いたいところだ。
他に手っ取り早くお金を稼ぐ方法……裏稼業はできない事なさそうだけどそこまで行ったらもうダメな気がする……どうしよう……。
「ライト君はどれくらい稼ぐつもり?」
「とりあえず金貨十枚」
「え……?」
「ははは! ライトってバカだな! 普通に働いて稼げる訳ないだろ! 身体だけじゃなく頭も鍛えろよ!」
むっ、なんかジャグナル君に言われるとなんか腹が立つ。
「なんでそんな大金を?」
「秘密」
「えぇ!?」
ライア君は狼狽している。
あっ、俺がライア君を手玉にとったのは初めてじゃないだろうか?
きっと俺が素直に答えると思っていたのだろう。
その後いろいろ街をうろついたけど、結局この日はお金を稼ぐ目処もたたず帰路についた。
この日の成果はライア君に一つやり返せた事だけ……いや、リノアちゃん……あぁ……。
俺は一日を振り返り自分でダメージを受けながら帰り道を歩いていくのだった。




