第三十三話 驚きところにより驚き
「おぉ!!」
俺は感嘆の声を上げる。
今日は学校休みの日で、この前の休みはいろいろあって疲れて寝てて何もしてなかったけど、今日は元気もあるし街に出る事にしたのだ。
ちなみにまだB組とC組の番長は動いていないようで何事もない。
このまま何もなく過ぎて行けばいいのに。
まぁとにかく、気分転換とある目的の為に街にでたのだ。
「ふふ、そんなに驚かなくても」
「田舎モン丸出しだな!」
……ライア君とジャグナル君付きで。
最初は一人で行こうとしたけど、ライア君に見つかり『お供しますよ、番長』とか冷やかしながらにこやかに言われ、最初は断ったけど暖簾に腕押しだったので諦めた。
そこに次はジャグナル君が現れ『おっ、街にケンカしに行くのか?』と勘違いされ、誤解を解こうとしたけど無理だったので諦めた。
まぁ案内してもらおうとプラスに考えて諦めたんだけど、なんだろう……このまま俺は諦め癖がついて、何事もズルズルいくようになってしまうんだろうか。
それか、俺をずっと一人で行動させるってのは冗談ですんでよかったとプラスに考えるべきなのか……。
「いや、田舎だったのは否定しませんけど」
街は住んでたスーラ村と違い人も多く、何より建物もレンガ造りの建物や石畳などもあり、おもいっきりファンタジーチックな街だったのだったので俺は見た目もそうだけど、『異世界に来た』って実感がより強くなったから感嘆の声を上げたのだ。
学校に来る時は馬車の中だったし学校は前世の学校みたいだったから『俺は今猛烈に感動しているぅぅぅ!』と叫びたいくらいだ。
だから、別に田舎に住んでたってのは否定しないしテンションが上がっているのも否定しない。
「それよりもお願いします」
「わかってるよ」
「そんな事よりケンカか女探そうぜ?」
俺は一緒に行くってなった時にライア君に街でお金が稼げそうなところを案内して貰えるようにお願いした。
それが街にきた目的だ。
決して初心を忘れてはいない。
だから、ケンカなんてもっての他だ。
女の子は……探してもいいけど。
一瞬、ふとネット小説の定番、冒険者ギルドみたいなものがあるのだろうかと思って期待したけど、まず冒険者ギルドがライア君に通じなかった。
説明したけど、そもそも賢者様が邪神を封印してからは魔物も少なくて討伐も国の兵士や魔術師の仕事らしい。
採取とかそういうのはあるけど、個々に店や個人で依頼を張り出したりするらしい。
つまり、店先に貼られているバイト求人みたいなものだ。
俺は早々にSランクの魔法使いと言う道を断たれ、バイト探しに店が多く並ぶところを案内してもらっている。
ちょっと冒険者とか憧れてたんだけど……残念だ。
だいたい高ランク冒険者ってモテるし年齢が若ければ若いほど可愛い子やキレイなお姉さんがよってくるだろう。
まぁ俺はどっちかって言ったら可愛い子の方が好きだけど。
「こっちだよ」
ライア君の案内についていくと店が立ち並ぶ活気のある道に出た。
「おぉ!!」
「ったく、ライトは驚いてばっかだな」
ジャグナル君の言う通り俺はさっきこら驚いてばっかだ。
いいじゃん、田舎モンなんだから。
「やめてください!!!」
俺が店が立ち並ぶのに感動していると女性の叫び声が聞こえテンプレとしか思えない展開がやってきた。




