第三十一話 変化に戸惑います
「おい、ライト次は俺とやろうぜ」
「ライト君、僕ともお願いします」
決して変な話ではない。
今は昼からの実技で今日も昨日と同じ素手での模擬戦だ。
なぜなら昨日は早々に切り上げになってしまったから。
そして、俺は何故か一気に人気者になっていた。
みんなから誘いの声が上がる。
「ライト君、一気に人気者になったね」
「そりゃ俺を倒したんだからな!」
ライア君とジャグナル君は俺を見守っている。
見守っているくらいなら助けて欲しいものだ。
少しは休みたい。
ちなみに午後の実技の前にトイレの個室に入って小声で詠唱して身体強化の魔法をかけてきた。
その時、上から水をかけられたりとかしないかとかイジメにあわないか心配したけど大丈夫だった。
まぁこれが昨日だったから分からなかったかもしれないけど。
「ライア先輩、ジャグナル先輩見てないで助けてくださいよ! もう十戦してるんですから!」
そう、俺はもう戦い続けている。
まぁでも身体強化の魔法がかかっているのとジャグナル君やライア君ほどの手練れがいないおかけで苦戦はしてないけど連戦は精神的に疲れる。
「そんな事言っててもまだまだ余裕そうじゃねぇか! 化け物だな!」
「ライト君は常識外れだね! まぁでも頑張って番長!」
二人は笑いながらこっちを見ている。
……いつの間に仲良くなったのか。
「ライト君、次は僕!」
「いや、俺だ俺!」
「ちょ、ちょっと待って!!」
俺の異世界学園生活は変な方向へ動き出している。
……世の中甘くないものだ。




